第5話

はぁ?何?今、わたしの写真を撮った?




「ちょ、ちょっと!何してるの!?」


「え~?別に1枚くらい良くない?撮られ慣れてんじゃん?写真」


「そういう問題じゃないでしょ?いいから消してよ」




不意打ちで写真を撮られて良い気がするはずない。

もう……、だからヒロトは苦手なんだ。

マイペースでこっちの迷惑とか一切考えないから。




「消してよね」




ヒロトからスマホを奪おうと手を伸ばすと、彼は「分かったよ」と肩をすくめた。



きっと他の女の子たちにもこんな風にさりげなく距離を詰めていって、最終的には虜にしちゃうんだろうな。



アイドルに女優、モデル、ヒロトが手を出した女の子達を沢山知っている。



ヒロトの事務所は何も言わないのかな……?彼だって売り出し中の役者なのに、スキャンダルばかり起こしている。




「消した?」




……まぁ、今の時代。

何が世間に"ウケる"か分からないから、"女ったらしキャラ"もアリなのかな?




「ん~、消したよー」




……はぁ、良かった。



ヒロトはそれで良いかもしれないけど、わたしはそうじゃないから。



ほっと息を吐いた……と、




「あぁ!」


「何?」


「ごめーん、うっかりTwitterにアップしちゃった」




……はい?




「ほら、見て?ありんちゃんとデート中(ハート)」




ヒロトがこちらに向けたスマホには、わたしの間抜け面が映っていた。

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