第4話
のらり、くらり。
人の意見を滑るように交わして、結局は自分の意のままに人を巻き込む。
これが、ヒロトであり、彼に泣かされた女の子は数え切れないほど居る。
"今のターゲットは、ありんだよ?気を付けな"
そんな忠告が耳に届いていたから、警戒していたのに。
彼の巧みな話術と戦術で、気が付けばカフェで向き合って座っていた。
「あのさぁ、ありんちゃんが思ってるほど俺、悪い奴じゃないよ?」
「……はいはい」
自分で言うか?自分で。
そういう奴ほど、怪しいものよね?
わたしは、そのルックスと話術に惑わされないから。
(いや、ちょっぴり惑わされて一緒にお茶しているのだけど!)
ヒロトはポケットの中からスマホを取り出した。
そして、目の前に置かれたカプチーノの写真を1枚撮った。
可愛いクマの絵が描かれているやつだ。
「俺はただ純粋なだけ、好きなものは好き、嫌いなものは嫌い、本能に正直なだけ」
「あ、そう……」
「ありんちゃんは可愛いから好きだし、このクマも可愛いから写真に撮った」
ヒロトはニッコリと微笑みながら尤もらしいことを口にするけれど、それは自己中心的な解釈であり、賛同できない。
あぁ、やばい。
今、わたしのコメカミに青筋立ってないかなぁ?
視線を合わせると睨んでしまいそうなので、俯き加減でオレンジジュースをストローでかき混ぜた。
……と、
「あ、ありんちゃん?」
不意に名前を呼ばれて、顔を上げた。
―――パシャ。
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