第3話

そもそも。

どうして、わたしが逃げ回らないといけなくなったかと言うと……、



時間を遡ること、1時間前。




―――

――――





「ありんちゃーん、暇?ねぇ?今、暇?」




そうそう、そうだ。

頭の中が空っぽで脳みそは下半身に付いているというヒロトに捕まったんだ。

顔とスタイルだけがずば抜けて良く、それ以外はダメダメな若手俳優だ。




「うん、暇。暇だけど、ヒロトとお茶する時間はないかな?」




こいつと一緒に居てロクな事がない。

雑誌の撮影でたまたま一緒になったことは、仕方ないにしても。

それ以上の時間を共に過ごすのはご遠慮願いたい。




「ちぇ、相変わらず冷たいなぁ……ま、そういうところが好きなんだけどさ、ねぇ、暇なら良いじゃん、お茶しに行こう?」


「あのさ?わたしの話、聞いてた?」




わざと大げさな溜息を付き、しかめっ面をヒロトに向ける。

そうでもしないと、ものすごく悪い負のループに巻き込まれそうだからだ。




「ん~?」




けれど、それは既に始まっていた様で。




「聞いてない、ってか、聞かない。良いじゃん、行こう!マネージャー!俺ら1時間ほど抜けまーす」





ああ!だからもう。

日本語がまともに通じない人って、苦手!

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