第2話

美容室「ANYMORE」の2号店が開店してから、2週間。


人事異動で2号店勤務になった水翔さんは、そこでリーダーに任命されたらしい。


根が真面目な彼だからきっと頼もしい存在になるのだろうけど、責任が増えた分だけ忙しさも増していて。


僅かな時間を見つけて、やっと今日が初デート。


といっても、門限までの数時間しかないけど、会えるだけでも嬉しいんだ。




「こんばんはー」




うわぁ、すごくお洒落な内装。


ドアを開けた私は、心の中で小さく叫んだ。本店とはまた違った雰囲気で圧倒される。


シャンデリアが眩しく光る入口を抜けて、正面にある受付に向かうと、レセプショニストのお姉さんが笑顔で迎えてくれた。




「心葉さんですよね?水翔さんから聞いています。まだ仕事中ですので、そちらのソファーでお待ちください」


「はい」


「飲み物お出ししますね」


「あ、いえお構いなく」




本店のスタッフさんもそうだったけど、美容室で働く人って、どうしてこんなに気が利くのだろう。


ちゃっかり紅茶を淹れて貰った私は、待合スペースのソファーに身を沈めて、水翔さんの姿を探した。


前はすぐに見つけられたけど、今は少し時間がかかる。


真っ黒の髪の毛になってしまって――――あ、いた。

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