第3話

髪の色はおとなしくなったけど、それでも十分な個性とオーラを放っている水翔さんは、奥から2番目のブースで仕事をしていた。


傍に立っている新人さんらしき人に、指導してあげているのかな?真剣な表情で何かを言っている。


その横顔が、立ち姿が、



「(かっこいいなぁ……)」



やばい、ずーと眺めていれる。


あの人、私の好きな人なんです!って自慢したくなっちゃう。


そうしてしばらく仕事をしている彼に見惚れていると、不意に頭上から声を掛けられた。




「いらっしゃい」


「(あれ?この人、)こんばんは」


「久しぶりだね、赤ずきんちゃん」




やっぱり!


新店オープンのパーティで会った(絡まれた)男の人だ!


まさかこの人も2号店勤務になっていたとは知らず……やだなぁ、ちょっぴり苦手なんだよなぁ。


そう一瞬怯んだけど、その人のことを知りもしないで苦手と決めつけるのは良くないと思い直し、何とか笑顔を作る。




「その節はどうも。あの、お名前を聞いてもいいですか?」


「へぇ、興味あるんだ?俺のこと」


「えっ!」




そうきたか。


うわぁーなんか面倒くさい人だな(やっぱり苦手だ)、どうしよう。そうだ、お手洗いに行くふりして離れようかな。

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