第一章「聖者の漆黒」第三部「回天」第2話
「
そう言った
距離を置いて正面に座る
その目に、
理由は分からなかったが、それでもその不安のようなものを声には見せない。
「
「
小さく息を吐いた
「我々
「〝守る〟? 守るとは…………一体何のことを…………」
突然現れた会ったこともない
そしてその神社が自分たちを守ってきたという。信じられるほうが無理があるだろう。
「歴史から生まれた〝
それは〝
決して
「私たちは……
「その〝
そう言った
「……それこそが〝
──…………〝
「つまり、
知りたかった。
ただ
──……どうして…………こんな生き方をしなければならない…………
☆
正直、
それから母親が家にいたことはほとんどなかった。
帰ってくることもあれば帰ってこないこともある。
食べるものは母親が買ってきてくれるのでそれほど
ただ、母親と一緒に食べたことはない。
思い返せば、決してまともな食生活ではなかった。
しかしまだ
他の子供の生活も、他の家庭も知らない。
だから、母親から
それでも決して
それでも〝
母親以外からの
誰なのかは分からない。
色々な男性が母親と共にやってきては、家にしばらく出入りする。
定期的に入れ替わるが、その誰もが
小学校にも
ある日、スーツ姿の大人たちがアパートの部屋に押しかけた。
理解出来たのは、母親がヒステリックになっていることだけ。
そして、その夜から
それ以来、母親に会うことはなかった。
お風呂に入れてもらい、見たこともないような料理が目の前に並ぶ。
食べ方も分からないような食事をとった。
夜に部屋の電気が付いていることにすら
初めてお
初めての
こんなに
それだけでも
しかし、ここに
ここに、
小学校に
そして初めて、母親というものが何なのかを理解する。
しかし、再び母親が
そして、新しい家族も見付からないまま。
中学を卒業する頃にはだいぶ世の中の
〝
それが
自分で選んだ人生ではない。
しかし、そうすることで
自分の
どうするべきかを考えていたわけではない。
ただ、大人に
それでも、その感情は誰に対しても同じだった。
相手から接してくる時、
初めは
友達のいない
それでも決して
やがて
それでも
自分とは正反対のはずの
「今日もどこか寄ってく?」
初めて他人というものを意識する。
それが
「私も一人だよ。古いアパートなんだけどさ」
「なんか言ってくるような
いつものように教室の外に
廊下から
そして相手の生徒の小さな笑い声が
「おい」
決して大声ではない、それでいて低く響く
背後の足音から、生徒の足が止まったことが分かった。
その目は、初めて
「私の友達にそんな目を向けるな」
誰も何も返せないままに
「今度、
翌日、
それでも
初めて自分を守ってくれた。そんな人がいることが
基本的に
出来なかった。
そんな
それが
☆
「毎年、他の神社に
すると
「
「ええ」
「
「はあ……まあ、それはそうなんですが…………しかしこの金額の大きさは……このままでは
「今までの方々は〝
その
そしてそれは、
──……
同じ頃、中学に入ったばかりの
夜。
すでに遅い時間だった。
家でもある神社では基本的に
それでもその夜の
「相変わらず
二人の姉は
「今夜はあなたに、
「
そして
しかしそれらを聞いても、
それでも
「もちろんこのことは
しかし、
そればかりか、自分の目を
僅かながら、
そしてその口が小さく開いた。
「…………私は…………お母さんの子じゃないの?」
それに、
──…………私は…………あなたの…………
「そうです…………あなたは…………この国の歴史を動かす
「そう…………あまり
なぜか、
何かが
──…………なんだ…………この
それから数ヶ月の間、
季節はすでに秋。
しかしその資料の数々が表すのは、国を裏で
最初は
どう考えても子供じみて見えた。
そして、
「
気さくに話しかけてきた
「少し確認したいことがありまして…………」
──……
その
「
後になってみると回りくどい言い回しをしない
──…………バレたか…………
しかし、次の
「私も調べてるんですよ。色々と…………
「調べてる…………?」
そう言って僅かに身を乗り出した
「
その笑顔にどう返していいか分からないままの
「私は
「まあ…………ええ…………」
「ですので……私は
そこには変わらない
なぜ
そして二人は
もしかしたら
しかしこうも思う。
──……色々な意味で、
あくまで裏の活動。決してスピード感のある動きではなかったが、少しずつ
やがて中学卒業
そんな時、二人の娘からも神社からの
「私が
やがて
しかし本人に
そして、ただ遠くから見守り続ける。
関われば関わるだけ、リスクは間違いなく大きくなるだろうと考えた。
しかし、やがて
同級生と
「高校に入ってもこれでは…………私も
そう言いながらも、こういう時は必ず
人を
教師になだめられる形で学校を後にしようとした時だった。
校舎の入り口で
「
──…………マズい…………
それは、この学校で一番の
そしてその
「
このままでは、いつか
──……
☆
昨日のうちに
それでも、
学生の頃、
だからこそ、
「相変わらず
最近は
とはいえ、これから
「いつの間に勉強してるの?」
なんとなく想像出来てはいたが、あえて
しかし返ってくる
「ネット」
「
「間違ってるのもあるけどね……でも勉強していけばその間違いも分かるし」
そう返しながら
──……私も少しは
そんなことをいつものように感じる。
お
「この間の仕事は? 黒い
「うん……あそこね……」
──……こういう返事はダメだな…………
反射的に返したとはいえ、相手に不安を感じさせるような応え方は自分でも反省するところ。同時に、今まで
「
お
そして、その目が
「……〝
言い終わる前に、
左手で
──……総て……
──……あの時会っただけで……そこまで見えたって言うの…………?
──…………やっぱり私以上か…………
「ありがとう……
──……引き
「少し
☆
時が過ぎていた。
西暦にして一四七七年。
すでに〝
しかし
〝
──……
──…………
──……何人
ただただ
産まれたばかりの
一度は
──……死ね……死ね…………死ね………………
──………………
なぜか、
──…………これが……
大きく起き上がったかと思うと、火の
その大きな音に
そして、もはや子供を産める体では無くなった。
それを
──……
その〝
しかし男子が産まれて
それは何の
午後、使用人が昼寝をさせようとしていた時。
すぐに
全身で
──……
一年ほど
──……殺させぬぞ…………
しかし、その日々は恐怖に
いつ子供が
──……これが
毎日が、
産まれない
二人の思い
──…………これが
──……やはり…………
そして、更に
〜 あずさみこの
第三部「
第四部「
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