第11話 まさかの方法で再放送!
今、NHKで放送している「マルコポーロの冒険」というアニメがあります。
私はリアルタイムで見ることが出来ませんでした。
理由は覚えていませんが、1979年放送のこのアニメ、その番宣番組を池上彰さんが司会を務め、繰り返し放送していました。
とにかく私が驚いたのは、1979年放送のアニメが、つい先日までどこにも残っておらず、幻のアニメ扱いになっていたことでした。
1979年と言えば、初代ガンダムやベルばら、未来少年コナンなど、数々の名作が世に送り出されていた頃、その時代のアニメですら、こうして記録媒体に残らない作品がある、という状況なんだそうです。
NHKと言えば、なんとなく自社の番組を大事に再放送する習慣がある、という印象でしたが、そういえば、放送した記録が残っていない番組が沢山あって、視聴者から録画した番組の提供の呼びかけがされていたな、と。
ってことは、私が埋もれたアニメ、隠れた名作だと思っていた作品が、そんな扱いを受け、消えている可能性があるのではないか、と不安になる事実でした。
そして、更に驚いたのが、この再放送に向けたNHKの涙ぐまし努力です。
(逆に、そこまで努力するなら、取っとけばいいのに、って・・・・)
それは、海外輸出された放送用のフィルムが、ヨーロッパで発見されたところから始まります。
しかし、残念なことに音声が無かったのだそうです。
とりあえず、フィルムが残っていれば、退色復元の技術も最近は発達していますから、映像の方は色々クリアされそうなのですが、問題は音声ですね。
この比較的マイナーなアニメを、1979年の本放送時に録画しているアニメファンがいたことで、この問題は解決したのですが・・・・そのファンの方も、1話分だけは撮り逃していたんだとか。
そもそも、VHSテープもまだ高価だったこの時代に、家庭用ビデオテープにこれを記録していた人がいたこと自体、凄いことだと思いますが、もっと凄い人が出てきます。
それが、本放送の全話をカセットテープで録音していた人の存在でした。
あー、やりましたよね、これ。
私もビデオデッキって、ずいぶん後になって買いましたから、アニメの主題歌なんか、もうテープに録音しまくりました。
それでも、全話を録音って、やはりアニメ好きの歴史は深いな、と感じます。
このようなマメな人がいてくれたおかげで、今期の再放送があるのですから、まさに奇跡です。
放送中の番組を見てみると、音声も映像も、全く違和感が無く、とても綺麗な状態です。
音声はビデオとテープのどちらを使用しているかは解りませんが、当時の民生機器が、現在の技術を使って、ここまでテレビ放送に耐え得るクオリティーになるんだ、という事が、驚いたやら嬉しいやら、でした。
YouTubeなんてまだ皆無の時代、家庭用ホームビデオで撮影したものを放送で使用する際には「家庭用ビデオで撮影」というクレジットを入れる決まりがありました。
これは「ビデオ8」が出現しても継続されます。
ありましたよね、VHSに直接録画するタイプのビデオカメラとか。
若い人は見たら、驚くか笑うかでしょう。
とにかく業務用カメラのように大きくて、存在感は抜群でした。
放送業務に絡むようになり、わたしが初めて買った家庭用ホームビデオカメラは、「ハイ
この機材が出てから、画質が極めて向上し、「家庭用ホームビデオで撮影」というクレジットが必要なくなりました。
この頃に出てきたのが「ビデオジャーナリスト」と呼ばれる新たなジャンルです。
プロアマ問わず、写真は個人でもジャーナリストとして活躍されている方が沢山いました。
しかし、ビデオカメラを持ったアマチュアなんて、その存在すら認められていなかった時代、私はそんな時代が必ず来ると思って、このハイ8カメラを常時携行していました。
もちろん業務にも使っていましたし、便利でした。
それでも、1979年なんて、アマチュアがビデオカメラ持って取材するようになる10年以上前のお話、この時代のアマチュアが、プロユースの機器とやり取りすることは、全くの想定外だったと思います。
恐るべきアニメファン、この奇跡に、私は少し感動すら覚えたほどです。
そして、同時に不安になりました。
自分の青春時代に、感動させてくれた作品が、もしかしたら消失しているのではないかと。
あるんです、もう本当にマイナーで、レンタルDVDにもほとんど置かれていない作品が。
先にご紹介した「
次にご紹介するのは、それが少し危ぶまれる番組なんです。
確かにマイナーですが、私にはとても大切な、人生観にも影響を及ぼしたほどの番組なのです。
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