第7話 ここで庵野秀明監督です

 全部、全話面白い、と感じるテレビアニメと言うのが、以前は多くありました。

 一部繰り返しになりますが、その一部を書いてみます。


〇 ベルサイユのばら

〇 機動戦士ガンダム

〇 未来少年コナン

〇 装甲騎兵ボトムズ

〇 家なき子

〇 超時空要塞マクロス

〇 巨人ゴーグ


 なんか、渋いラインナップに感じるかもしれませんが、これは一部です。 

 ただ、この作品群の中に、その後の日本のアニメを牽引する要素が含まれています。

 先に触れた「銀河英雄伝説」などは、ヤマトやベルばらの影響を受けていますし、超時空要塞マクロスは、作品自体は作画が色々あってコマが抜けて酷いものでしたが、そんな低予算を支えた若手スタッフ陣がとにかく凄まじい人たちでした。

 1982年放送のこのアニメ、色々続編が多かったこともあり、知名度自体は高いのですが、最初のオリジナルの評価はもっと高くても良いかと感じます。

 ちなみにこの1982年、同じくその後の日本アニメ界に衝撃を与える一つの小説が出版されます。それが先にも触れた「銀河英雄伝説」です。

 こうして見ると、宇宙戦艦ヤマトやベルばら、ガンダムなどに刺激を受けた次の世代が、1980年代前半に、急速な才能発揮をしてゆく過程が見て取れます。

 特にこの「超時空要塞マクロス」は、宇宙空間に巨大な軍艦が一隻あって、それが旅しながら解決してゆく過程は、ヤマトに似たコンセプトです。

 この時、キャラクターデザインをしていたのが美樹本晴彦さんです。

 美樹本晴彦さんは、最近ではガンダムの「閃光のハサウェイ」のキャラクター原案もされています。

 そして、このマクロスに集まった才能と言えば、その後の「ガイナックス」設立メンバーとなる庵野秀明監督ですね。

 当時、若干二十歳のド天才として騒がれていたのは、むしろ同じくガイナックスの山賀博之さんの方でした。

 庵野秀明さんは、もうご存じ「エヴァンゲリオン」の監督ですね。

 YouTubeでも有名な岡田斗司夫さんらとともに、マクロス放映の2年後、1984年には、先のガイナックスを設立し、多くのアニメ作品を生み出しました。

 この中で象徴的だったのが「オネアミスの翼」と言うアニメ映画でした。

 この企画、山賀さんが1983年にはすでに岡田斗司夫さんに話していて、それってマクロスの放送中では? と言うような時期に、本格商業アニメの制作を発案しているのです。

 恐るべき二十代。

 さて、このオネアミス、色々言われていますが、完成した作品は、開いた口が塞がらないレベルのクオリティーで、最初に触れていた1970年代アニメのような泥臭さも熱血漢も無いものの、何と言いましょうか、才能をこれでもかと押し付けられたような感覚に陥る作品でした。

 どうやったのか、当時の宣伝では、バンダイが全面バックアップ、総予算8億円、音楽監督 坂本龍一・・・・ナニコレ!!

 因みに、坂本龍一さんの大ファンでもあった私は、その時点でひっくり返りそうなレベル。

 こんなに若い世代が、才能を余す所なく発揮している、そしてそれを具現している。

 美術を志す学生にとって、この時代の庵野さん達は、もはや伝説です。

 こうして、1970年代後半に芽吹いたアニメの才能は、着実に80年代、90

年代へと引き継がれ、この才能の空白をほとんど生むことなく日本アニメは他国を寄せ付けない勢いで、もうオタク道を突き進んで行くのです。

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