第8話 同じ20年でも、これだけ発展した20年がある
さて、こうして日本のアニメは80年代と言う激動を経て急速に発展を遂げて行きます。
私がどうして「急速に発展」と言う語彙を使ったのかと言えば・・・・、もう下の図を見てください。
日本のテレビアニメ史
1963年 鉄腕アトム
1966年 魔法使いサリー
1971年 あしたのジョー
1974年 宇宙戦艦ヤマト
1975年 フランダースの犬
1978年 未来少年コナン
1979年 機動戦士ガンダム
1979年 ベルサイユのばら
1982年 超時空要塞マクロス
1983年 装甲騎兵ボトムズ
1985年 機動戦士Ζガンダム
1990年 不思議の海のナディア
1995年 新世紀エヴァンゲリオン
作画やクオリティーを比較するために選出した作品群ですが、驚いた事に、日本のテレビアニメは、1966年「魔法使いサリー」の第3話以前は白黒作品なんです。
ちなみにこの時、サリーの1・2話が白黒だったため、再放送がほとんどされておらず、サリーちゃんが人間界へどのような経緯で来たのか、実はあまり見た事が無い、って人が大半なのです。
テレビアニメがカラーになってから約20年、1985年に放映されていたのがZガンダムです。
この作画のクオリティーの差、一体何があったんだ、と言わんばかりに変化しています。
例えば、今から20年前のアニメ作品って、どんなのがあるかと言えば、涼宮ハルヒの憂鬱が2006年ですから、概ね20年前・・・・今とそんなに変わらないですよね。
正直あの作品、今でも普通に見ますし、面白いです。
ここなんですよね、20年と言う時間、魔法使いサリーがZガンダムのクオリティーに到達するまでに要した時間、これが20年なんです。
この時代のアニメーターや作画、監督、脚本化、勿論原作、どれだけ頑張ったんだ、と思いませんか?
ちなみに、映画にはなりますが、「機動戦士ガンダムF91」は、1991年、先ほどのガイナックスが手掛けた「オネアミスの翼」が1987年・・・・今、観てみてください、古さを感じないのです。
私個人としては、このF91あたりで、日本のアニメ作品はこれ以上行けないほどの高みに到達したように感じます。
もっとも、それを言うならあの「アキラ」を避けて通ることは出来ないのですが、私の中では、あの作品は別格すぎて、他と比較すべきではないように思えます。
(まあ、それを言うなら、「幻魔大戦」が1983年ですから、これも高みを極めた瞬間だったのかもしれません)
こうして、日本のアニメーションは、他国のアニメーターを全くライバル視することなく、勝手に国内の天才達による競争が激化し、勝手にクオリティーを上げて行きます。、
正直、結局アニメって手作業ですから、前任者がやっている仕事から、クオリティーを下げる訳には行かず、今のアニメ業界は、良い作画、良い作品が出来ている反面、アニメーターってどれだけ大変なんだろう、ってつくづく感じるのです。
まさか来季、魔法使いサリーやりますって訳には行きませんよね。
この流れの中に、あの天才もいた訳ですね・・・・
押井守さんです。
うる星やつらや機動警察パトレイバーと、挙げたらキリがないほどの名作を世に送り出した天才です。
ちなみに、押井守さんのデビュー作になるんでしょうか、「ニルスの不思議な旅」、これも埋もれた名作と言えます。
このニルス、面白い事に、NHKのアニメ枠で放送されているのですが、実は一番最初の作品が宮崎駿さんが演出(と言うか、もう全部宮崎さんの作品です)されている「未来少年コナン」1978年放送で、その4作後が押井守さんの「ニルスの不思議な旅」1980年放送です。更に言うなら、その系譜を引き継いだのが庵野秀明さんの「不思議の海のナディア」1990年放送と繋がります。
この時代のこの時間枠に、時代は少し違えど、一体どれだけの才能が集まっていたんだと、思わずため息が出ます。
押井守さんは、今見ているのが現実か夢なのかが解らなくなる錯覚が得意な気がします。
夢オチが許される数少ない監督ですね。
そんな夢と現実の間、と言う概念を1980年のテレビアニメで見せつけた作品がニルスでした。
この概念は、その後の「うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー」へと繋がって行きます。
これはアニメ映画ではありますが・・・・初めて見た時は、衝撃でした。
こんな技法を使える人がいるんだ、と絶句です。
テレビ版「うる星やつら」も押井色がかなり入った作品ですが、この劇場版第2作は、原作とかそう言う概念をすっ飛ばして、押井守さんが一番伸び伸びやった作品ではないか、と感じます。
こうしてうる星やつらには劇場版が複数存在しますが、毛色が全部異なると言う異様なシリーズ性を持った作品でもあります。
もし、未だ見ていない人は、この劇場版第二作だけでも見た方がいいと思います!
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