第89話

「晃さん。そろそろ時間じゃないですか?」



皆で朝ごはんを食べ、まったりしていたが。


あたし達も学校へ行く時間になりつつある。



「んー、まだ大丈夫。てか、今日は休む!!」


「「「は???」」」



今なんと?



「まだ3人といたい。3人を見送りたい。だから」


「晃」


「っっ」



あ……マズい。


大好きな人にはあまり怒らない八千流。


しかし今、低い声で目が据わってる。


怒ってる。



「ややややや」


「そこに座んなさい」


「最初から座っとるわ」


「ハイド、うるさい」


「……」



やっぱり勝てないハイド。


八千流にひと睨みされて黙る。



「や……やっち」


「晃」


「はい!!」



座ったまま背筋を伸ばす晃さん。



「やちは、保育士の晃を尊敬してる。子供たちと遊んでキラキラしてる晃が大好き」


「えっ!?」


「なのにそんなことを言うなんて。やち、ガッカリ」


「えっ!?」



無表情の八千流が怖い。


そして絶望する晃さんも怖い。


ム◯クの叫び状態で。



「行きます!!行きます!!すぐ行きます!!今行きます!!マッハで行きます!!」


「よし!!」



ガタンッと椅子から勢いよく晃さんが立ち上がり、八千流は満足げに笑う。



「晃のことを待ってる可愛い子供たちがたくさんいるんだからね」


「はい!!」


「良い子」



よしよしと晃さんの頭を撫でる八千流。


それを嬉しそうに受けてる晃さんだったけれど……



「じゃあ行ってきます!!」



名残惜しそうにしつつも玄関へ。


見送るためにあたし達もついていく。



「……また来ても良い?」



勢いよく出たまでは良かったけれど、ソロっとこちらを振り返った晃さんに。



「もちろんです」


「いつでも」


「大歓迎」



しっかりと頷いたあたし達。


晃さんは輝かんばかりの笑顔で仕事に向かった。



「あっ、でも昨日みたいな理由では来たくないからね。なるべく、いやほぼ絶対、危ないことには首を突っ込まないように」


「「「……へい」」」



さすが双子命の晃さん。


釘をさすのを忘れなかった。

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