第86話

俺の質問に、晃はキョトンとした顔をし……


俺を見て柔らかく微笑んだ。



「どうしたの?急に」


「晃はいつも俺達を最優先にするじゃん」


「愛してるからね」



ニコニコと言われる。



「もう良いんだよ?」


「うん?」


「俺達に向けてくれる愛を自分の愛する人に向けてあげて」



目を見て言うも、晃は困り顔。



なんで?



「その愛する人がハイドンでやっちんなんだよ。俺の幸せは二人が笑ってくれること。幸せであることなんだよ」


「っっ。それは俺達の幸せであって、晃のっ」



晃の幸せはっ


どうして?


どうしてそんな困った顔をするんだ?


俺はただっ



「ハイド」


「っっ!?」



八千流に呼ばれた。


起きてたのか……?


いつものハイテンションな声ではない。


“お姉ちゃん”の声。


今まで寝ていたとは思えない程、落ち着いた声。



「おおっ」



俺の方を向いていた晃の脇腹にドスッと八千流が頭を乗せる。


嬉しそうな晃は八千流の頭を優しく優しく撫でる。



それを気持ち良さそうに受け入れていた八千流だったけど



カッ!!


と目を見開いた。


母さんから受け継いだ猫瞳が暗闇の中でランランと光ってる。



「このバカタレ」


「なんでだよっ」


「晃の幸せは晃だけのもの。アンタが勝手に晃の幸せを決めちゃダメでしょ」


「決めてない!!」


「そう?八千には愛する人を見つけて、結婚しろって聞こえたけど?」


「そんなっっつもり……は」



本当にないか?


俺は……愛する人との結婚が幸せだと……。



「まぁ、ハイドが思うこともわからないでもないのよ。八千達の周りは“そう”だから」


「うん」



笑って言う八千流にその通りだと笑って頷く晃。

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