第76話

一華side



呼ばれ、その方向を見るとマッハで走ってくる人影。



顔は暗くて見えない。


けれど声は聞き知ったもの。



「「竜!!」」



「竜希さん」



“黒豹”2代目総長 吉良竜希さん。


“黒豹”は、パパとこの人の代が最強だったと聞いてる。



現在は刑事としてこの街を守ってくれている。



暴走族の総長から刑事なんて、なかなかに凄い経歴の持ち主だ。



スラッと背が高く、切れ長の瞳のイケメ刑事。


この街の人達は皆、竜希さんを頼りにしている。



双子とほぼ一緒に居るあたしも可愛がってくれる面白カッコいい人。



八千流から連絡をもらって、本当に急いで来てくれたみたいだ。



ほぼくっついて立っていたあたし達は、三人まとめて抱きしめられる。



「怪我はねぇか?」



「「ないっっ」」



「ないよ、大丈夫」



「そうか」



ホッと安堵の息を吐いた竜希さんはあたし達から離れた。



「何?竜、八千達が怪我をするとでも??」



そう言いながら八千流の視線が微妙に逸らされる。



……怪しい。


怪我はしてないけど、しそうになったな?八千流め。



後で聞き出してやる。



竜希さんもそれに気づいて口を開く……が



「俺達は強いよ」



ハイドが言う。



「わぁーかってるよ。お前達が強いのは。それでも伯父さんは可愛いお前達が心配なんだよ」



ニカッと太陽みたいに笑った竜希さんがあたし達の頭をそれぞれ乱暴に撫でていく。



もう大人です、みたいな態度のハイドも2代目の人達や雪代さん、ひなちゃんの前だと本当に子供で。



今も嬉しそうに頭を撫でられてる。




「っっ」



あたしと目が合うと、スンッとした。


スンッとして竜希さんの手から逃げた。



今更遅いからね?



八千流に至っては「もっと、ジャンジャン撫でてくれて良いんだよ!!」なんて満面の笑みで言っていた。

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