第49話

額に触れる八千流の手を取り




「お?」




クルッとそれを回し、八千流の体も回転させ、膝の上に座らせる。




「おお?」




やっぱり重くなって、スッポリと収まっていた身体は見事にはみ出る。



頭の上に乗せていた顎は今や肩に。




本当に大きくなった。



モデルのような身体は父親似だな。


母親はちんちくりんだからな。




「クスクス。ママ怒るよ?」



「本当のことだろう」




耳に心地良い声で八千流が笑う。




「大分手慣れた感じだけど、コレ、よくお嫁ちゃんにもやってるね?」



「……」



「ムフフッ。やちも今度やってもらおっ」



「……誰にだ?」




知っているが、聞く。



ずっと見守ってきたんだ、わかるさ。



八千流が誰を見てるかなんざ。




「……ぬぇえっと」




視線が彼方此方に泳ぐ。




「アイツは手強いぞ」




八千流を大切には思っているだろう。


だが、それが恋愛に発展するかどうかは難しいところだ。



なにしろ年の差がな。


父親と同い年の親友。




「ほぉおっ!?バレてる!?」



「当たり前だ、ジィちゃんを舐めるなよ」



「わぁあっ」




八千流が真っ赤になった顔を隠す。



俺の孫は可愛い。




「でも八千、自信ある!なにしろすぐ身近に年の差夫婦がいるからね」




俺を見上げてニコニコ笑う八千流。



それは……俺のことだな。




まぁ、そうだな。


人生何が起こるかわからねぇ。



アレが八千流のことをとても大事にしてるのはわかるしな。




「俺はお前達が幸せならそれでいい」



「八千も、ユッキーとお嫁ちゃんの幸せをいつも祈ってる!!」



「ありがとよ」




八千流の頭を撫でる。




「って、忘れてた!!一華ちゃんに怒られるっ」



「おお、そうだったな」




確か、“Addict”の話だったな。

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