第46話

「話しを逸らさない」




ハイドが言う。




「あのっ、決して逸らしてる訳ではなく……八千流ちゃんにも会いたいと」



「八千流は今、ユッキーに尋問されてる」



「尋問!?」




ギョッとするひなちゃん。



バカハイド……。




そう今、八千流と雪代さんはここには居ない。



“ひなちゃんには内緒で”という八千流の願いを聞いて、ひなちゃんがこっちに来そうな気配を感じた途端、雪代さんは八千流を脇に抱えて走っていったのだ。



あっちの方角からして、真白さんの離れかな。



本当に八千流に甘い。




「八千流ちゃんは悪いことするような子じゃないのにっ。わたしが八千流ちゃんの弁護をする!!行ってくるね!!」




ムンッと拳を握ったひなちゃんが、離れに向かおうとする。



ものだから




ドカッ!!




「ぐぅっ!!??」



「ハイドくん?」




あたしは誰にも見えないように、ハイドの脇腹を殴る。



八千流に「任せろ」なんて言ったのは誰だったか。



誰にも見えないように、のつもりだったが、シゲさんと目が合った。



声には出さないが、笑ってる。




いや、あの……これには微妙な深さの訳が……




「ひなちゃん!!休んでないんでしょ!?」




おっ、ハイドが強引に話しを戻した。




「えっ!?いや、あのそれは……」



「休もう!!なんなら俺が膝枕してあげる!!」



「膝!?」




いや、それはいらんだろ。




ハイドはガッとひなちゃんの腕を優しく掴むと問答無用で母屋に入っていく。




「八千流ちゃーーんっ」




ひなちゃんの叫び。



最後は力尽くか……。



ヤレヤレ……。




「大丈夫だよ、ひなちゃん。八千流もすぐ来るから」



「本当?」



「うん。だから、ひなちゃんはあたし達と一緒に休憩しよう」



「そっか。うん、わかった」




あたしの言葉に素直に頷いてくれたひなちゃんは、ハイドに連れられて母屋へと戻っていく。




「はぁー、ようやく休むか」



「やっぱり弁護士って大変なんだね」



「工藤組専属だからな」



「ああー……」





荒くれ者達の弁護……。



考えただけで大変そうだ。



そんな会話をしながら、あたしとシゲさんも母屋へと入った。

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