第43話

一華side



急に工藤組に行きたいなんて三ツ井の奴、どうしたというのか。



まぁ、考えられるのは2つ。



“addict”に巣食う族のことか。


“zero”のことか。



って言っても“addict”のことはまだしも、“zero”のことは工藤組も感知してないでしょ。



“黒豹”もない今、族潰しなんて勝手にしろ、だろうし。




唯一の味方だった八千流にもアッサリ見放され三ツ井撃沈。



あたし達はそんな三ツ井を置いて、教室を出た。




どんな理由であろうと、男を連れて行けば本当に凄く機嫌が悪くなるんだから雪代さんは。




『八千流はお嫁にいかなくていいと思う』




この間は真顔でそんなことを言っていたからね。



お姉ちゃんがそれを聞いてケタケタ笑ってたからね。



八千流に恋愛感情のない三ツ井でも連れて行ったらどうなることやら。



想像もしたくない。



当の溺愛されてる本人は、クッキークッキーなんて浮かれている。



天真爛漫そのままだ。




「ほら」




ハイドにヘルメットを渡され被り、後ろに乗る。




「お先っ」




八千流が先に走り出し、その後を追ってハイドも走り出した。




……ん??



裏口から出た時……狐のお面が見えた気がした。



振り返るも、誰もいない。



気の所為?





「一華?」



「なんでもない」




ハイドにどうした?と聞かれ、なんでもないと答えて、しっかりとハイドの腰に手を回した。




工藤組はそう遠くはなく、バイクで20分といったところか。



広い、高級車が何台も停められている工藤組専用の駐車場にバイクを停めると、ゆっくりと歩いてくる人物が2人。



濃紺の着物が良く似合う美丈夫と、その道の者ですっていう厳つい顔の男の人。



雪代さんと、その片腕のシゲさんだ。




「ユッキーーー!!」



「遅い」



「シゲさん」



「良く来たなぁ」




最初に八千流が雪代さんに駆け寄り、ハイドがその後に続く。



あたしは最後尾。



抱きついた八千流をしっかりと抱きとめた雪代さん。



ハイドの頭を遠慮なく撫でるシゲさん。




あたし達にとってココは絶対安全圏だ。



雪代さんが八千流を抱きしめたまま、あたしを見て…




「一華、元気だったか?何か困ったことはねぇか?」




そう言って、穏やかに微笑んだ。

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