第27話
“黒豹”が真っ赤な血に染まり、
泣かないで、泣かないで。
今、行くから
ーー泣かないで。
「……ゃんっ」
「……いで」
「一華ちゃんっっ」
「……」
頬に温かなものが触れる。
ゆっくり瞳を開けると……
もう、すぐ目の前に顔があった。
近すぎて、誰かわからなかった。
けれど
「百音……?」
頬を撫でる小さな手と、プクプクのほっぺ。
そこから導き出される答え。
「泣かないで、一華ちゃん」
相手が少し離れたくれたことで、見えたのはやっぱり百音。
八千流とハイドの6歳下の妹。
ポニーテールにしたサラサラの黒髪。
お姉ちゃん譲りの大きな猫瞳。
突きごたえたっぷりのプクプクほっぺ。
プニプニのピンクの唇。
この子が一番お姉ちゃんに似てて
激可愛である。
学校では男子が放っておかないだろう。
まっ、ハイドという名の恐いお兄ちゃんが居る事は知られているため、ちょっかいを出す男子は居ないだろうが。
百音が眉をハの字にして聞いてくる。
「泣くーー?」
あたし、泣いてたのか。
夢で泣くって……。
「こわい夢でも見た?」
「……。うん、嫌な夢を見た」
怖くはない。
ただ、不快で嫌な夢ー。
「こわい夢はね、人に話すと良いんだって!!」
身を乗り出してくる百音。
「聞いたことある」
ママ、パパ、お姉ちゃんが言ってくれてたっけ。
「ね!一華ちゃんのこわい夢は、百音が聞いて退治してあげる!」
そう言って、フンフンと鼻息荒くまたしても顔を近付けてくる。
フフッ。
「良いの……?本当にコワイよぉ〜」
「……ゴックン」
「貞」
「わ〜っ!わ〜っ!」
「ゴフッ!?」
百音がお腹に抱きついてきた。
「え〜、聞いてくれるんじゃなかったの〜」
「ききききききききっきくヨ!?」
「声裏返ってんじゃーん」
「キャーッ」
あたしは百音を抱きしめるとユラユラ揺らす。
「あっ、なになに?楽しそう!八千もいれて!」
ヒョッコリと顔を出した八千流がニコニコ笑顔でこっちまで来ると百音ごと、あたしを抱きしめた。
「お姉ちゃん、一華ちゃん、苦しいよぉ〜」
言葉とは裏腹に、百音の声はとても嬉しそう。
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