第7話

バイク通学の生徒は裏門から入って、駐輪場にバイクを停める。



そこからはもう、動物園の動物の気分……。



見世物。



その言葉がピッタリ。、



嫉妬、羨望、憧れ、崇拝、憎悪、ネバネバした好意、あらゆる感情のこもった視線が向けられるのだ。



主に八千流とハイドに、だが。



しかしこの二人、小さな頃からこんな感じだったから慣れたもので、ケロッとしてその視線たちを無視している。



でもたまに八千流は自分の名前を呼ばれれば、ニッコリエンジェルスマイルで手を振ったりする。



まるでアイドルだ。



その度に「キャ~っ」なんて黄色い声や「おお~っ」なんて野太い声が上がる。




「八千、うるさい」



「八千はうるさくないよっ」




このやりとりも毎度。



そんな感じでいつものように教室へ向かうのだが……




今日はちょっと違った。



強者…?勇者…?チャレンジャー…?



なる者が現れた。




「きゃっっ」




先に行くハイドと三ツ井の前で女のコが躓いて転んだ。



何も、何もない所で転んだ。




それにピクッと八千流のコメカミが引き攣り、猫瞳がジトッと細まる。




「いったぁーい」




スカートから露わになった太腿と少しだけ赤くなった膝。



どこからか、ゴックン…、なんて生唾を飲む音が聞こえてくるし…。




「八千の方が綺麗だもの、足」




八千流は張り合うし。




「張り合うな」




と言うものの、うん八千流の方が綺麗だわ。




さて、あの女のコの狙いはハイドか三ツ井か。



それともあわよくば両方か。


欲張りだねぇ。




「あっ、一華ちゃんがワクワクしてるっ」



「どっちだと思う?」




あたしもこれでも女のコなもので、こういうものはワクワクするっ。




「一華ちゃん、ドロドロ恋愛とか好きよね」



「大好物っっ」




自分では真っ平御免だけど、見るのは大好き。




「八千は一途な純愛が」



「聞いてない」



「酷いっ」



「あれぇ〜?立てなぁいっ。足捻ったかなぁ〜」




女のコが誰に話すでもなく、一人で話してる。



うん、うんそうだろう。




それで!?



ここは王子が手を差し出す場面!!



どっちが手を差し出すんだっ!?




両方!?



両方であれ!!



と、ハイドと三ツ井を見た。

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