第5話
チャイムが鳴る。
「きゃっ。王子のお迎えね!」
「うるさい八千流。殺すよ?」
「勝てるの?八千に」
ニコーッと笑う八千流。
ぐぅ……。
「ハイドがなっ」
「俺か」
「ハイドはさすがの八千も無理ね」
そう言うと八千流はツッタカターッと玄関へ向かった。
もう我が家同然だ。
この双子、強いんだよねー。
ムカつくぐらい。
父親の血もあるんだろうけど、周りがケンカの極意やらを教え、実践してく内に強くなったという。
あたしも一緒に習ったのに、二人には勝てないんだよ。
「チーッス」
「おぅ、おはよう」
「……」
……来た。
何故来るコイツ。
毎朝何故来る……。
ソイツはあたしの前まで来ると膝まづいた。
「きゃーっ」
「八千、うるさい」
「八千流うるさい」
「えー」
「おはよう、俺の可愛い姫。迎えに来たぜ」
「……」
この男の名は 三ツ井静。
高校で出会って、ハイドの親友。
ハイドの親友で、一応あたしと八千流とも友達である。
だから家に来るのも許しているけど……。
毎日来て良いとは言ってない。
"黒豹"が大好きだったというコイツは"黒牙"というチームを作り、総長をしてる。
右半分を編み込みにした金髪。
切れ長の瞳には青のカラコン。
一見ただのチャラ男。
手に触れてこようとするから、避けて立ち上がる。
「今日もダメみたいね、静ちゃん」
「うるせぇよっ。八千流」
「ハイド、ご馳走さま」
「おう」
歯磨きをするために洗面所へ。
「なぁ、いい加減俺のものになれって」
「……」
中身は只のチャラ男。
止まって三ツ井を一瞥する。
「おっ」
そして洗面所のドアを閉めた。
「あーっ」
アイツはあたしを好きなのではなく、"黒豹"が好きなのだ。
だから"黒豹"を作った初代総長の娘という肩書きを持つあたしが欲しいだけ。
「ドンマイ、静ちゃん」
「だぁああっ。付いてくんなよ、八千流!」
「失礼ね。八千も洗面所に用があるんですーっ」
「おーい、静。飯食うのかー」
「食うよっ」
ドタドタと遠ざかる足音。
「はぁー……」
「お疲れー、一華ちゃん」
「マジで……朝から疲れる……。学校休む」
「ダメ。さっ用意しよー!」
「えー……」
ズル休みを許してくれないんだよ、この双子。
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