第2話 風俗街事情
そこは、性風俗の街になっていて、その通りに入り込む人たちは、まず、
「性風俗の店目的」
ということになる。
性風俗の中でも、
「お風呂屋さん」
と言われるところは、風営法も結構厳しかったりしている。
しかし、それだけに、
「法律に守られている」
といってもいい。
「風営法を守ってさえいれば、ちゃんとした市民権を持った産業」
だといえる。
どうしても、性風俗の店というと、白い目で見られるような感覚だが、これを、
「必要悪だ」
ということが言われていたりする。
というのは、
「性犯罪への抑止につながる」
というものだ。
「お金を払っての自由恋愛」
といってもいい。
性風俗店というのは、法律的には結構ややこしいところがあり、基本的には、
「風俗営業法」
というものがあるのだが、実際に、守らなければいけない法律は、
「各自治体の条例」
なのだった。
というのは、各自治体が制定する条例での、性風俗関係は、
「風営法を基本として、それに沿った形で、各自治体が自由に制定している」
つまり、
「都道府県によって、微妙に法律が違っている」
ということになる。
ただ、それは、店の営業時間であったり、店を出せる範囲といったことであり、もちろん、末端の基本は、
「店ごとのルール」
ということになる。
だから、営業時間は、
「午前六時から、日付が変わるまで」
ということであれば、その間の時間で決めることができる。
というものだ。
しかも、性風俗の中でもお風呂屋さんは、
「作ることができる範囲は決まっている」
ということで、
「たとえば、中洲一丁目と言われる範囲だけだ」
ということになるのだが、実際には、風営法で、
「そんなことは当たり前」
ということになる。
なぜかというと、
「お風呂屋さんは、新規参入が許されず、しかも、お店を新しく建設することはできない」
ということになっている。
要するに、新しく新店を設けるとすれば、どこか廃業した店に入るしかないということで、店内改装も、基本的には、内装を少し変えるくらいしかできず、内部であっても、水道の位置や浴室の位置を変えるなどということはできないということになっているのだ。
それでも、店がなくなるということはない。どこかが廃業しても、別の店が、新店を出したり、別館として利用したりしている。それだけ、キャストの数や、客が減るということはないのだろう。
そんな性風俗の街というのも、何度かの、
「危機」
というのを切り抜けてきて、今があるというところも多いだろう。
警察の取り締まりなどというのも多く、その都度、マイナーチェンジを繰り返してきたといってもいいだろう。
昔であれば、店の前にいた、
「呼び込み」
と呼ばれる人もほとんどいなくなり、
「入りやすくはなった」
といってもいい。
昔であれば、気の弱い人などが、呼び込みに連れ込まれ、表には。
「三千円ぽっきり」
などと書かれてはいるが、中に入ると、暗闇のソファーで女の子という名のおばさんが控えていて、
「おビール飲みたい」
とか、言って注文させ、気が付けば
「三千円ぽっきり」
などといっておいて、数万円という請求をしてくる。
「金がない」
というと、怖いお兄さんから、裏に連れ込まれ、袋叩きに遭い、結局金を取られるということになるのだ。
もちろん、そんな経験はないが、ドラマなどでよく見た光景だった。
いわゆる、
「ぼったくり」
というやり方で、それで余計に、
「性風俗街に入ってくる人が減った」
ということになるのだった。
今では、そんな
「悪しき連中はいない」
といってもいい。
以前は、暴力団と絡んでいる店も多かったからであろう。
だから、以前のお風呂屋さんなどは、そんな悪徳呼び込みに合わないようにということで、
「中心駅からの送迎」
というものをしている店も普通にあった。
しかし、今ではそんなことをしなくとも、安心ということから、少し減ってきたのではないかと思われる。
特に最近は、ネットの普及というものがあり、
「性風俗を案内しているサイト」
というものがあり、そのサイトから、業種別、地域別に検索できるようになっていて、もちろん、すべての顔出しをしている女の子は少ないが、目元口元を隠した状態で、紹介されているので、店に行く前のネット予約などもできるようになったので、街に入っても、迷うことなく、直接行くことができるのだ。
予約という制度は、いろいろなところで行われている。
「美容室などのサイトもあって、そこで予約ができるようになっていて、今では、予約必須」
ということになっている。
そうすると、待ち時間もないし、スタッフの指名も事前にできるので、スタッフも最初から用意ができて、行ってからすぐに対応できるので、時間の無駄がないということになるだろう。
なんでもかんでも予約という時代になると、
「携帯電話のショップ」
というのは
「予約必須」
ということであった。
そういう意味で、
「便利なところもあるが、融通が利かない」
ということもあり、
「本当にそれでいいのだろうか?」
と考えさせられるのであった。
性風俗街」
に入ったが、この日は予約を最初からしているわけではなかった。
実は、自分はこういうところは初めてではない。
それどころか、最近は遠ざかっていたが、以前はよく来たものだった。
それも、
「定期的に来ていた」
というか、
「一度遊びにくると、毎月くる」
という時期が数回あり、そこで、満足するのか、またしばらく街から遠ざかるということであった。
こっちの方が、
「金銭的にもあまり使わない」
ということに気づいたことで、
「これなら、自分の考え方にあっている」
ということでこの方法でずっと来たのだ。
いつ頃くらいまでか、お風呂屋さんというと、今でいう、
「高級店しかない」
という時代が続いた。
待合室では、高級なシガレットケースに、ライターも、高級品がおいてあり、スタッフも、膝をついて対応し、タバコを吸う客に、スタッフが火をつけるというような、まるで、
「王様になったかのような気分にさせられる」
それが、昔のお風呂屋さんだった。
そして、あくまでも、
「テクニックを味わう店」
ということで、平均年齢は、今よりもかなり上だが、
「極上のサービス」
というものがあったという。
だから、昔は、
「ボーナスが入ったら、それで来る」
ということで、
「半年に一度」
あるいは、
「年に二回」
ということを決めていた人も多いということであった。
それも、
「バブルが弾ける前」
ということで、今からは信じられないが、
「忙しいので、高い給料や残業代をもらっても、使う暇がないので、お金はたくさんある」
という時代だった。
それでも、年に二回くらいというのは、お店の値段が高いというのもあったが、
「極上のサービスだから、年に二度くらいでいい」
というほど、この世界が別世界と感じていたのだろう。
今はまったくその頃とお風呂屋さんも変わった。
今であれば、
「親しみやすさと癒しを求めてやってくる」
という客も多いのだ。
以前のように、一回で、
「六万円以上」
という値段設定だったものが、今では、最安値で、
「一万円未満で入れる」
という格安店であったり、
「三万円前後の予算」
ということでの、大衆店というのもどんどん増えてきて、今では、
「大衆店が、結構多いのではないだろうか」
実際に、大衆店というと、平均年齢の若い子が多く、
「街を歩いている普通の女の子」
というのが相手してくれるということで、客の方も、気取ることなく来れるということで、昔のような、
「別世界」
ということのない。
それこそ、
「お金で時間を買い、その時間内だけでの自由恋愛」
というものを楽しみたいから来ているということである。
だから、中には、
「話だけで終わる」
というお客さんもいると、女の子から聞いたことがあった。
どうやら、その客は、普段は忙しく、会社では、仕事以外のことで話すこともなく、実際に、
「コミュニケーションを取るのが苦手」
という人が多いという。
友達がいるわけでもなく、
「世間話をするとすれば、こういうお店か、美容院の女の子くらいだ」
といっているという。
そういう人は、散髪屋にはいかない。
女の子がカットしてくれるのが分かっているところであればそれでいいが、下手に男だと、
「相手は世間話をしてくるが、こっちは大きなお世話だ」
と思っているからだろう。
それでも、相手が女性だと、そこまではない。今まで男としか話をしたことがなく、それが次第に鬱陶しくなってきた人間が、女の子と話て、
「目からうろこが落ちた」
と感じている人も少なく無いだろう。
自分もそういうところがあったので、最初は、性風俗街への立ち入りは怖かった。
しかし、ネットのサイトがあるのを見て、そこで予約をしてくるようになると、
「女の子が意外と気さくだ」
ということに気が付いた。
昔であれば、
「借金のために働いている」
という音の子が多かったという。
だから、どうしても、
「うしろめたさがあり、別世界だ」
という印象を持つのではないか?
と思ったが、サイトの中で女の子が書いている、
「写メ日記」
などと見ていると、そんな雰囲気もあまり感じられない。
中には、
「現役女子大生」
という子も普通にいる、
逆に、今の時代ではなく、大衆店や、格安店が出てきた頃は、さすがに、
「現役女子大生」
というのは少なかっただろうから、かなり貴重だったことだろう。
「その時の女の子に入ってみたかったな」
とも思ったが、
「どうせそういう子は、予約でいっぱいだろうから、それこそ高嶺の花なんだろうな」
ということで、逆に、気軽に女子大生との自由恋愛を時間内に楽しめるということで、
「今の方がいいか」
と考えるようになったのだ。
どんなところでも変革期というのは珍しいもので、
「お風呂屋さんに大衆店や、格安店が増えてきたおかげで、女の子も、
「アルバイト感覚」
という気さくな雰囲気が増えてきた。
その分、店も価格競争の時代に入ってきたといってもいいだろう、
店とすれば、街が賑やかになるのはいいが、その分、固定客を取られるのはたまったものではない。
かといって、
「一定のサービスを提供するには、最低ラインの価格設定がある」
ということで、簡単に値段を下げるというわけにはいなかいということだった。
そこで考えられることとして、
「お店の個性」
というものだった。
つまりは、
「コンセプトをしっかり持っている店」
ということで、
「他と変わらない」
ということであれば、
「値段が安いところに行こう」
と思うのは当たり前だろう。
ただ、客の立場からいえば、
「あまり安いところは嫌だ」
と考える人もいるだろう。
激安店などが登場してくると、価格競争が蔓延し、だからと言って、激安店などにいけば、
「この店、とんでもない」
というところもあったりする。
それこそ、昔の、
「ぼったくりの店」
に近いような感じで、
女の子のプロフィールには、22歳とか表記しておきながら、出てきたのは、明らかに中年のおばさんで、対応も、
「塩対応」
それこそ、
「早く終わってよ」
という意識からか、客を威圧している有様だったりする。
そんなのに、一度でも当たれば、
「安物買いの銭失い」
という言葉を思わせるだけである。
もっとも、そんな店に客が来ても、それは一度だけしか来ない客であろう。
そんなことは店も分かっているだろうから、いつの間にかなくなっていたということも多いだろう。
最初から、短い期間、稼いで終わりだと思っている経営者もいるだろう。
それは、本店を普通に持っていて、ちょっとした事業拡大というくらいに考えているところだったかも知れない。
しかし、これは、風俗街の、
「黒歴史」
というものだろう。
今では、
「そんな店があった」
ということすら、知らない人ばかりで、
「激安店というのが昔はあった」
というと、信じてくれない人も結構いて、こちらも、話題にすることがなくなってくるので、もう話題にする人もいないだろう。
それでも、大衆店というのは、定着した。
気さくな女の子がコンセプトに合わせて待機しているのだから、人気が出ることだろう。
「学園もの」
であったり、
「メイド風」
「奥様設定」
「SM系の店」
と、コンセプトも様々だった。
店の雰囲気も、昔は暗い部屋というのが当たり前だったが、今は、普通の明かりの部屋に入り、
「プレイの時だけ、照明を落とす」
という女の子が多いという。
「なるほど、気さくな女の子が多く、話に夢中になると、60分コースにしていた場合など、気づけば、あと10分ということもあり、話だけで終わってしまう」
ということもあるだろう、
本来であれば、女の子が気づいて、
「もう、半分時間過ぎてるわよ」
といってあげるものなのだろうが、お互いに話に盛り上がって、客の方も、当初の目的を忘れ、
「まあ、いいか、今度来た時、楽しませてもらうよ」
といって、恐縮している女の子の頭を撫でるというような雰囲気を、実は客は、
「至福の悦び」
と思っているようだった。
だから、その客はしばらくすると、またやってくるのだ。
女の子の方も、
「悪いことしたな」
と思ったかも知れないが、相手はそんなことを感じていない。
女の子は、
「悪いことをした」
と思っているところに、本当に来てくれると、感激し、
「今日は私が頑張る」
ということで、一生懸命に相手をしてくれることだろう。
女の子も、そういう客がいてくれると、自分も、
「働いている甲斐がある」
ということで、一生懸命になることで、
「風俗嬢であることに対して後めたさを感じることはない」
と思うだろう。
それこそが、
「客の望む、自由恋愛」
というものだ。
こういうお店で、リピータ五として、二回目以降指名した客のことを、
「本指名」
というが、女の子も、
「初めて来てくれた客も大切だが、本指名はもっと大事」
ということになる、
というのは、店側の価格設定では、
「本指名の指名料が若干高めに設定してある」
というところがある。
その高い分というのは、
「女の子に、給料として還元される」
ということで、女の子は、本指名を大切にするのだ。
考えてみれば、どの業界でも、
「リピーターというものは大切だ」
ということになる。
客を大切にするということに繋がり、
「一見さんは、一度で終わるが、常連さんは、ずっと来てくれる」
と感じるからだ。
もちろん、常連といっても、
「気に入った女の子への常連なのか」
それとも、
「店に対しての常連なのか?」
ということであるが、そのほとんどは、前者だろう。
しかし中には、
「女の子は毎回変えるが、店の雰囲気が好きだから」
ということで、常連になってくれた客もいる。
そういう客はスタッフと仲良くなったりして、女の子でも、いい子を紹介してもらえるからだ。
これが、フリーでその時フラッときたくらいでは、
「フリー要員ということで、なかなか指名が付かない女の子に充てられたりする」
そうなると、
「いくら誰でもいいといっても、自分の好みでもない女の子が付いたり、潮対応されてしまう」
ということになると、
「もう二度と来ない」
ということになり、それこそ、一見さんということになってしまう。
店もそれくらいのことは分かっていて、それでも、フリー要員の女の子が、
「お茶を引く」
ということになると、店を辞めると言い出すことになるだろう。
フリー要員でもいないと、フリーで来た人に対して、
「今女の子がいっぱいで」
ということになると、その人は、二度と来ないだろう。
一度でも来てもらうと、ひょっとすると、常連になるかも知れないという機会をみすみす失うことになる、そういう意味では、
「フリー要員」
というのも大切だといえるのではないだろうか?
そういう意味で、今回の自分は、
「このままいけば、フリー要員ということになってしまう」
と考えた。
もっとも、今から風俗街に向かって、いきなりということであれば、フリー要員は否めない。
その時のために考えられることとして、
「無料案内所」
というものを訪れるということだ。
基本的には、フリー要員ということになるのだろうが、だからと言って、
「どうでもいい子ということもないだろう」
と思った。
最近は、風俗街から足が遠のいていたので、常連のお店でも、スタッフが覚えているかどうか怪しいものだ。
そういう時に利用するのが、無料案内所というものだった。
そこでは、店内に、業種ごとに店の案内がいろいろ乗っていて、案内所のスタッフが、いろいろ教えてくれる。
きっと、店と提携していて、店が共同出資する形で、案内所を作っているのだろう。
店としても、自分のところを宣伝して、客を誘導してくれるのだから、それこそ、昔の、「呼び込みというものが形を変えた」
といってもいいだろう。
呼び込みというものがなくなると、さすがにフリーは難しい。
それでも、フリーが付かないと、どうしても、
「お茶を引いてばかり」
という女の子もいるだろう。
せっかく待機しているのに、客がつかないと、
「長い一日を無駄に過ごして、金にもならない」
という惨めな思いと、金にならないことへのストレスがかなりひどいかも知れない。
こういうお店に入ってくる人は、昔のような、
「借金が理由」
という人は少なくなっただろう。
特に学生や、若い女の子などは、
「奨学金を払わなければいけないので、今のうちにその分を貯めておく」
という健気な人もいるだろう。
あとは、
「こういう仕事に興味がある」
あるいは、
「男性と仲良くできて金が儲かる」
ということが嬉しいという人もいるだろう、
中には、
「ホストクラブに嵌ってしまった」
という、一種の借金のかたという場合もあり、それが一番悲惨な状態かも知れないが、数的には結構いるということであった。
だが、自分は、そんな理由など、どうでもよかった。
「どうせ、聞いたって教えてくれるわけおないし、相手に嫌な思いをさせると、潮対応されて終わりだ」
ということになってしまうに違いない」
ということであった。
だから、
「こういうお店ではm話題にしてはいけないいということがいくつかある」
ということで、それらをしっかり把握して遊ぶのが、
「客としてのエチケットだ」
と思っている。
それらのことは、ネットを見ればいくらでも乗っている。
「女の子が嫌がる客のベストテン」
などというランキングなどもあり、結構参考になるだろう。
だから、普段であれば、
「酔った状態で、風俗店に行くことはない」
ということだが、今回は、飲み会の後ということで、少々は入っている。
それでも、
「いつも飲まない」
ということを会社の人間は分かっているので、進めることもなかったので、正直、最初の乾杯の一杯だけしか飲んでいなかった。
そもそも下戸だということもあり、すでに、酔いは冷めていたといってもいいだろう。
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