第33話
というか問題はそこじゃないはずだ。
お兄ちゃんは、昔から細かいところに気がつく。けど、気がつくところがたまに斜め上行っているような気がするのは、気のせいじゃないはず。
「……児相の話戻すね」
「蛍!」
無視しよう。
「眞夏がなんでお兄ちゃんたちのところじゃなくて私のところ来たのか考えてよ、まず。……お兄ちゃんたちが新婚で迷惑かけたくなかったんじゃないの? じゃなきゃ面識ほとんどない義理の姉のところなんか来ないでしょ。」
「そこに不純な動機がないって言い切れんのかよ」
「それはまだ分かんないよ。あの子まだ家出の理由言う気ないし。取りあえずお兄ちゃんには随時何かあったら連絡するからさ、しばらくそっとしといてあげたら?」
そこまで言い切ると、お兄ちゃんは黙り込んでしまった。
いきなり訪ねてきたかと思えば。
……この人は本当に何も知らなかったんだろうか。
眞夏は自分の姉にも、家出のことを話していないとすれば、ここでお兄ちゃんにあっさり話してしまったのは失敗したような気がする。……ごめん眞夏。
暫く冷戦のような沈黙が続いたが、グラスの中の氷がとけて、からんと冷たい音を響かせたのを契機にお兄ちゃんが不意に立ち上がってそれは終わった。
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