第32話

まずいだろ。と言う兄に目を見開く。

そんなことを言われるとは想像していなかった。




「………でも、まだ眞夏がここに来る理由っていうのが、お父さんのことって決まったわけじゃないし」


「まあ、それもそうだけど」


「けど?」



けど何だ。



「理由が何にせよ、年頃の男女が頻繁に一つ屋根の下ってのはまずいって」


「…………」



年頃の男女?

誰のことを言ってるんだろう、と突然訪ねてきた兄の顔を思わずまじまじと見つめてしまった。もしかして、もしかしなくとも、私と眞夏のことを言っているのだろうか。



「おにいちゃん」


「うん?」


「……私と眞夏、21と14だよ」


「ありえるだろ」


「ありえないよ」



言い切る兄に閉口する。



「ありえるって!芸能人とかだと珍しくないじゃん年の差カップル」


「芸能人じゃないし……」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る