第7話




「……なんなの、これ」


「はは」



はりきりすぎた。

人と一緒にする食事にテンションが上がって、思ったより豪華な夕飯になった。



「下着それでへいき?」


「ばっかじゃねえのしね」




途中でコンビニに寄って男性用の下着を買って、脱衣所にスウェットと一緒に置いておいた。まさか素直に履いてくれると思わなかったけど、履いてくれたのか。



「お腹空いてる?」


「…………」



座るように目線で促すと、疑うような顔をされつつも正面にそろそろと座る。

まるで、懐かない猫だ。



「……食っていーの」


「うん。食べて」


「……………………イタダキマス、」


「いただきます」





手を合わせると、眞夏も戸惑うように真似をした。

割り箸を渡すと、そこから先はもう、食べる食べる食べる。



あー、男子中学生って感じだな…。見ているだけでこっちのお腹がいっぱいになるような。



適当に乾かしたのか、まだ少し湿り気を含んでいる茶髪から、近所の野良猫を思い出した。



綺麗な顔をしている。

最初に数回会った時も気付いてはいたけど、こうして間近で見るのは初めてだ。


切れ長の一重の目に、すうっと通った鼻筋、薄い唇、余計な肉が削ぎ落とされたような顎。伏せられた目の長い茶色い睫毛が、顔に影を落としている。



がつがつとご飯を食べる姿は男の子のものだけど、髪の毛が長いことも相まって、ともすれば女の子だ。



「その髪の毛って地毛なの?」


「そーだけど」


「へえー」



睫毛も眉毛も色素が薄い。男の子には思えない見た目。女親に似たんじゃないだろうか。見たことがないこの子の母親の顔を眞夏に置きかえて想像してみた。相当美人だったんじゃないだろうかと思わせるくらい、眞夏の顔は綺麗だった。



「あんたは真っ黒だな」



すっと食べものから視線をあげた眞夏にどきりとする。本当に美人な子だなあ。



「うん、両親も真っ黒だから」


「ふーん」


振っておいて、興味がなさそうな声音に苦笑いする。私は母親と同じ黒髪で、ミディアムくらいのストレート。目も真っ黒なので、正直眞夏の色素の薄さは羨ましい。




「…………そろそろここに来た理由とか、聞いてもいい?」

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