五
まじ、めっちゃびっくりしたよね。
そしてそしてなんとなんと、
太陰様は私に
そして私に新しい家族を与えてくれた。
天皇家の次に位が高い公家の六家――通称、
ちなみに種族はそれぞれ
一条家は白狼、
二条家は黒豹、
三条家は朱虎、
四条家は緑犬、
五条家は蒼狐、
六条家は灰山猫……という感じかな。
そしてびっくりしたのが、太陰は私が天皇の娘ということをわかっていたらしい。
だから太陰様は私が天皇の娘であることを公表してほしくない……つまり娘、しいては妹として迎えるのではなく、普通に従者としてそばにいるならできる、と言うとすごくしょんぼりしていた。
普通、奴隷……というか、売られた子?は下働きのはずだから最初はそれも拒否しようとしたんだけどね。
なんで気づいたのかと聞いたら、
「私のほうが蒼月より
と返ってきた。
私の目の色を変える魔法は自分より魔力が多い者にはきかないんだそうで、私の本当の姿をすぐに見破ってきたんだよ。
あ、マナってのはまぁ、魔力の別称? みたいなものだ。「まりょく」って一々言うの面倒でしょ?
で、えーと、つまり何が言いたいかというと太陰様とか他の皇子たちと私は腹違いの兄妹にあたるってこと。
ちなみにそのことを知っているのは太陰様を含む七人の皇子方とある五人の仲間だけ……なら、よかったんだけど。
天皇と妃達、一条の義両親、そんで公家たち。……はい、全員ですね。
いや、あのね、最初っから全員にバレていたわけではないんだよ!?
どうやら太陰様は最初っから天皇に報告してたみたいなんだよね。
まぁ、さすがにするか。しないとおかしいもんね。
で、一条の義両親は預かってもらうとこだからね、流石に事情説明したよ。あ、もちろん目も本当の色に戻して、ね。
此処までは良かったんだよ。
でも、とある事件のせいでちょっとややこしいことになって…………と、いうか露見してしまったというか。
そんで結局、公家たちの間で妾の子扱い――――つまり、天皇の御落胤ということになってたね。
ま、間違っちゃいないけどさ。
妾の子扱いだと、本筋のお兄様方より色々と自由にできるし、結果は良かったと言えるだろう。
――――公家たちの相手をすることがなければ、の話だけど。
ほら、妾の子と言えど、一応は内親王扱いになるわけだからさ?
王位継承権を持ってるわけだし?
それに、あくまで妾の子〝扱い〟なわけであって、〝妾の子〟なわけではないからね。一応。
だから内親王の仕事をやらなきゃいけなかったわけ。
その公務の一つにお茶会やら夜会やら——こういうところは明治、大正っぽい印象を受ける——で、公家たちの相手をするっていうめんどくさいものがあってさぁ?
……でも、天皇家ってやっぱりなんか、ねぇ?
めんどくさいんだよね、作法とかさ?
あと……
醜い嫉妬――――たとえば、どうせすぐ捨てられる、とか、
ただの平民の娘ごときが、とか、
顔で媚び売っただけだ、とか、
体でも売ったんだろう、とか、
そういう酷いことを言われることももちろんあった。
こういうのも正直言ってめんどくさかった。
媚び売ってんのはお前らだろって、
じゃあお前らはただの公家ごときだ、
って怒鳴ってやりたかった。
貴族ってこんなに醜かったんだなぁ、
ってこの時初めて知ったよね。
というかこの瞳見てもまだ平民って言うんだ?って思ったね。頭がおかしいのか、諦めが悪いのか……
だけどイヤイヤながら入ることになったんだ。
……父上が譲らなくて。
多分、私が母さんに似てるからなんだろうけど。
お妃様達は優しかったし、そこは良かったかな。
そして私は太陰様の役に立つべく(恩返しも含め)
誰よりも努力し(たはず)、
日本最強と謳われるまでになった。
満十二歳のことだった。
そして私は帝を守る
太陰様の小姓のような……側近のようなことや、
太陰様専属? 料理人もしていた。
太陰様、私以外が作ったものは信用できないとかで食べてくれないんだよね。
―――ま、これは、オモテの世界では、の話。
裏の世界でも私は活躍していた。
まぁすることといえば暗殺とか……だよね。
要らん貴族消したりとか、やばい商会潰したりとか、裏の世界にいる怖いお兄ちゃんたちを拷問したりとか……とにかく、色々……人には言えないことだねっ!
初めて人を殺した時は苦しかったけど、段々大丈夫になってきて今は仕事だと割り切っている。
初めて人を殺したのは確か九歳? くらいだったはずだ。
あんときは確か、余計なことしか言わないクソなとある大臣を消せとかいう命令だったかな。
なんでも、
どうやら調べたところ、第二皇妃様の家とは仲がよろしくなかったようで、何とか蹴落とせないかと思っていたみたいだ。
ま、失敗した――――というか、
けど、最初の依頼――――もうご察しかと思うが、この依頼を出したのは私の偉大なるパパ上である。愛しい娘に何させてんだ阿保。――――がこれで良かったと思う。
思いっきり、罪悪感なく、殺せたからね。
ま、流石に嫌悪感はあった。あのぬるっとした感触が、ね。
そのせいで悪夢に長らく付きまとわれて、苦しめられていたのは、皇妃様たちには内緒だ。
もちろん、殺したのが私ということも含めて。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます