第47話 ナタリアに詰められる

あの後しばらくして。


無事に魔石の回収した俺は2人のを受け取った。



「ハァァ……♡」

「ア……ヒグッ♡」


ビクンッ



ミリーナは多少慣れていたからか程よく満足出来たようだが……ルーマは初心者だったのもあってなる感覚の刺激が強すぎたらしく、今もヒクヒクと身体を震わせ時折腰を跳ねさせている。


それでも隣から俺に抱き着いており、蕩けた顔で見つめていた。


その反対からはミリーナも抱き着いていて、そんな彼女はの感想を簡単に言ってくる。



「良すぎよ♪初めてのルーマにこんなの教えるなんて、今後は満足できなくなっちゃうかもしれないわ」



ゴーレムのスキルについて知らない彼女に異常なことをするわけにもいかず、自分をゴーレム化してで振動させたりはしなかったのだが……形の調整をして良いポイントを狙ったことにより、慣れている彼女でも余裕がなくなるほどに乱れていた。


ルーマへの行為も序盤は慎重に進めたがを終えるとミリーナ同様に攻め立ててあげたので、それが基準になった彼女が今後ので満足できなくなるかもしれないと心配しているようだ。


こちらとしてはに嫌悪感を持たせるのは良くないだろうと思ってのことだったのだが……そういった反応を見て楽しむ客もいるだろうし、その反応がイマイチだと客足も鈍ってしまうのか。


そうなると稼ぎに影響が出て良くはないな。


とはいえ記憶を消すことなんてできないだろうし、身体の方だってゴーレムの能力を使えないとどうしようもないよな。


まぁ、ヤる前の状態に戻せるかは不明だが。


どちらにしろ今のところは魔法使いで通しているのでそれは避けるとして、その場合俺に取れる手段は多くない。


だったら、そもそもをせずに済むようにするか?


一番確実なのは……俺が借金の肩代わりをして、利子を取らないとか返済期限に猶予を設けるとかか。


今はそこそこの金を持ってるし、稼ごうと思えば稼げるので額によってはそれでもいいな。


そうなると問題は彼女達の負債額だ。


亡くなった両親が作ったものだそうだが、俺が持っている以上の額だとこの案は使えない。


ミリーナは娼館への手数料を惜しんだからこそ揉め事のリスクがあっても個人でやっていたようだし、それを考えると結構な額であると予想される。


万が一債権者が悪人だったりすると、高額な利子で完済できないようにしてあって一生借金が消えないなんて可能性もあるが……


まぁ、とりあえずは彼女達が俺の提案を飲むか聞いてみるしかないな。



「ミリーナ、君達の借金ってのはいくらなんだ?」


「え?300万ぐらいだけど……」



聞けば両親は交易商だったらしく、取り引きで失敗してできた借金であるらしい。


幸い債権者は真っ当な相手であったそうで、利子はあれどミリーナ1人でも少しずつではあるが着実に減らせている額のようだ。


それでも普段の生活費や税金などがあり、この分だと結構な年月を要してしまうそうだが。


なので姉を慮ったルーマも同じ仕事をする気ではあったらしく、しかし別の仕事にして欲しいミリーナはそれを引き伸ばしていたとのこと。


となると今回の一件でルーマが身体を売る決心をつけるかもしれず、自分がきっかけになってそっちの道にというのは申し訳ない気になってしまう。


そう考えて俺はミリーナに提案する。



「その借金、俺が肩代わりしようか?」


「えっ!?ど、どうして?」


「いや、今日のことでルーマがを始めるかもしれないだろう?」


「あぁ、自分がそのきっかけになるんじゃないかって気にしてるのね。でもそれは気にしなくていいわ。元はと言えばこの子が貴方のマジックアイテムを持ってきてしまったのが原因なんだから」


「いや、それも俺がさっさと回収していれば良かった話だからな」


「それはこの子が悪くなかったことにはならないわよ」



そう言って遠慮するミリーナに、俺はその遠慮が不要であることを説明する。



「遠慮しなくていい。借金がなくなるわけじゃなくて、その借金は俺に返すことにするだけだからな」



俺が彼女達に金を貸し、その金で今ある借金を完済させる。


俺からの借金には利子を付けず、期間にも猶予を設けて無理のないペースで返せるようにすると説明を続けた。


それを聞いたミリーナは遠慮がちながらも食いついた。



「……いいの?貴方が無茶な要求なんてする人じゃないのはわかってるし、こちらとしては都合のいい話なんだけど」



彼女は俺が治安維持に貢献しているというのもあってその人間性を信用しており、この話に乗る気のようで最終的な確認をしてくる。


俺はそれに頷いて答えを返す。



「いいって。稼ごうと思えば稼げるから俺が食うに困ることはないんでな。ミリーナだって他の仕事があれば稼ぎが減るとしてもそっちに変えていいぞ」


「っ!」


ガバッ!


「うおっ」



答えた直後、ミリーナは俺へ食らいつくように跨った。


すると彼女は笑顔で俺の上からこう返す。



「大抵はそうだけど、私も好きでこの仕事をしてたわけじゃないのよね。そこでこんな話を提案されたら……話だけじゃなく貴方にも乗りたくなったわ♪」



ここで言う乗りたくなったというのは性的な意味で、それだけ嬉しい提案だったということだろう。



「じゃあ、いいんだな?」


「ええ。代わりに貴方はこれから私を好きなだけ使っていいからね♡」


クィクィッ


「う」



言いながらミリーナは腰を動かしてを刺激し、その感覚に小さく声を漏らしていると横からルーマが絡みつくように迫ってくる。



「じゃあ、私もぉ♡」



彼女も話は聞いていたようで、姉と同様に自分を好きなだけ使えといっているらしい。


そんな彼女達に、俺はもう少しお相手をしてもらうことになったのだった。





夕暮れ時になり、水の魔法と称して2人と入浴をする。


ここでは一般的なサウナ風呂と違いお湯に浸かっての入浴に2人は戸惑っていたが、すぐにその良さを理解して堪能し……を堪能させてきた。


そんな乳繰り合いをしながらの入浴が済むと服を着て、翌日に今ある借金を返すことを決めお暇する。



「じゃあ、また明日」


「ええ。んっ♡」


チュッ


「はーい♡んっ♪」


チュウゥ……チュパッ



2人に続けてキスで見送られ、俺は再び冒険者ギルドへ向かう。


もちろんミリーナ達の借金返済に使う金を引き出すためであり、ギルドとしては多少困るのだろうが潰れるわけではないだろうから遠慮なく引き出させてもらう。


1日に2度もギルドを訪れるのは……依頼の受注と報告をするので普通のことか。


そんなことを考えつつギルドへ到着すると、その報告で混雑する受付からナタリアが駆け寄ってくる。


カウンターの端にある出入り口から回り込むので距離があったが、彼女は大きな胸が暴れるのを気にせずに向かってきた。



トットットット……

ブルンブルンブルンブルンッ


「「おぉ……」」



その様子に男性冒険者達が簡単と興奮の声を上げる中、俺の下へ辿り着いたナタリアが焦ったように尋ねてくる。



「あ、あのっ。"遺跡"に向かわれるって本当ですかっ?」


「あぁ、その話ですか。本当ですよ」


「そんな……」



俺の答えに落ち込むナタリア。


治安の悪化を懸念してのことだろうか。


そう考えていると思い、彼女を安心させるように俺は言う。



「あの、エルゼリアが監視役になりますし治安のほうは大丈夫かと」


「それは聞いてます。というかかなり噂になってますよ、彼女のゴーレム」


「はあ。ということは治安を気にしてるわけじゃないんですか?」



その発言にナタリアは……



「ハァァァァ?」



と両手を腰に当て、俺を信じられないという目で見てきた。


普段は見ない表情だな。


若干怒ってるか?


そんな彼女が俺に問う。



「あの、私が何に怒ってるかわかってます?」


「あぁ、やっぱり怒ってたんですね。でも何に怒ってるんです?」


「ハァァァァ……」



今度は大きくため息を付き、再び落ち込む様子を見せるナタリア。


すると彼女は俺に縋り付き、周りに聞こえるような音量で聞いてくる。



ガシッ


「あれだけのことをしておいて、私を放って行くんですか?」


ザワッ



内容はともかく、そもそも誘ってきたのはナタリア達のほうなのだが……周囲の鋭い視線が俺に刺さる。


彼女は人気の受付嬢だし、お近づきになりたいという男は大勢いるのだろう。


そんな中で、俺が彼女を弄んだかのように言われればこんな視線を向けられるのは理解できる。


とはいえ監視役としての立場はそのままなのだし、素行が悪い人間だと思われるのはよろしくないな。


なので宥めるように俺は返す。



「いやあの、少なくとも年に1回は帰ってこようかと」



表向きの目的はエルゼリアでも戦闘に使えるマジックアイテムなので、その入手にどれだけの時間がかかるかは不明だが定期的に戻って来ようとは思っている。


なのでそう伝えたところ、ナタリアは若干の落ち着きを取り戻す。



「そうなんですか?普通に考えればそれなりに短いとは思いますが、私としてはそれでも長くて寂しいです」


「そう言われましても……あぁ、そう言えばここから"遺跡"までってどのぐらいかかるんですか?」


「徒歩や馬車なら3,4ヶ月ぐらいでしょうか。馬を乗り継いで急げばいくらか短くなるとは思いますが……」



結構遠いな、それだと"遺跡"にいられる期間は4ヶ月ぐらいになる。


しかし、これには魔物や盗賊を警戒することで進みが遅れたり、それらとの戦闘や後始末の時間も含まれているだろう。


だがその場合、俺ならもっと早く移動できるかもしれない。


そうなると"遺跡"での活動期間を伸ばしつつ、もっと短い間隔でこの町に帰ってくることができるんじゃないだろうか?


それをナタリアに伝えてみると、彼女は疑問の表情を浮かべて俺に問う。



「もっと早く移動できるって、馬以上にですか?」


「ええ。空を飛んで移動すればもっと早く移動できるでしょうから、予定よりは短い間隔で帰ってこれるんじゃないかと」


「空を飛ぶ?」


「ええ。こんな感じで」



そう答えつつ俺は足元に氷の手を出現させ、それに乗ると宙に浮く。



スーッ


「「おぉ……」」



そのままナタリアの周りをクルッと回ってみせると、周囲からは感嘆の声が上がってきた。


感心しているのはナタリアも同様で、氷の手から降りた俺は彼女に聞いてみる。



「連れて行くのは護衛1人だけですし、物資もこの時期なら立ち寄った先で調達しやすいでしょうからそこまで多く運ぶ必要はないでしょう。魔力の都合でずっと飛んでいけるわけではありませんが、普通に移動するよりはずっと早くて安全に帰ってこれると思いませんか?」


「それはまぁ……というか、そんな使い方もできるんですね」


「俺が外の森で捕まえてきた連中も似たような運び方だったでしょう?」


「あっ、確かに」



ナタリアはあのときのことを思い出すと納得し、続けて窺うように問い掛けてきた。



「じゃあ……本当に帰ってくるつもりではあるんですね?」



あぁ、これはあれだ。


最初の態度は"遺跡"に行った冒険者達が基本的に帰ってこないが故のものだったのか。


そこで俺が具体的に帰ってくる手段を提示したので、彼女は俺が本気で帰ってくるつもりなのだと理解したようだ。


ついでに帰ってくる別の理由としてミリーナ達に金を貸すことも伝えたいが、注目されているこの状況で言えば彼女が俺のものだと思われてしまい客が遠慮して減ってしまうかもしれない。


なのでこう言っておく。



「今ここに来たのは必ず帰ってくることにも繋がる用事があるからなんですよ。それを聞けばおわかりいただけると思いますよ」


「は、はあ。では私の受け付けに来ていただけますか?」


「ええ。構いませんよ」



俺はそう答えると、戻ったナタリアの受け付けの列に並び……前で並ぶ人達から順番を譲られて彼女に今回の用件を伝えるのだった。

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