第3話

<あらすじ>


主人公の言森有吾こともりゆうごは幼馴染の静石奏多しずいしかなたへのいじめに、心を痛めていた。

ある日、直接的な暴行を受けるもなお笑おうとする奏多に『笑うな』と告げて、傷つけてしまった有吾。

自己嫌悪する有吾の元に空から届いたのは『お願い、助けて』の声。

彼が見たものは、救いを求める少女エデと黒い騎士の軍団、そして天から落ちてくる巨大な城だった。


エデが『エデン・マグナロゴス』と呼ばれる『鏡面世界』から、自身の世界を救うためにこちらへやって来たこと。

救うためには、有吾の世界の人間の力が必要なこと。

彼女が強大な言葉の力を持ち、『言の葉の姫テラー』と呼ばれ、彼女を守るはずの騎士団に処刑されようとしていること。

そして墜ちてくる城と有吾の世界が融合し、ひとつの世界になろうとしていることを聞き、有吾はますます混乱するものの……

先程、奏多を助けられなかったことを思い出し、今度こそは誰かの危機から逃げたくないと――エデの願いに応えることを決意。

エデから言葉の力を与えられ、騎士団に立ち向かうことになる。


だが、その前に立ちはだかったのは――エデを狙う騎士団長、ネヴァーによってその絶望を拾われた奏多だった。

深く傷つき、憎しみのこもった奏多の言葉に、圧倒される有吾だったが決して希望だけは失わなかった。

言葉の力を信じ続けた有吾の姿に、エデも自身の力を解放。

有吾は奏多の心を取り戻し、ネヴァーをも撃破。目的地であるエデン・マグナロゴスへ到達する。


これで全てが元通り。世界も、エデも救われると有吾は安堵するが、エデは世界を救うために守らなければならない掟を破っており、存在の抹消を余儀なくされてしまう。

苦しんだ分だけ幸せにならなきゃおかしいと怒る有吾に、その言葉だけで十分とエデは微笑む。

『何もかも忘れたとしても、絶対に、君が俺を、俺たちを助けてくれたことは忘れない』『エデの名前も。想いも。全部、忘れない』

力強く誓う有吾に、『あなたが心の奥底にひそませていた言葉たち。今度はちゃんと、声にしてあげてね』『大事なもの、もう手放さないで』と告げて微笑みながら、エデは消えていく。

そして、世界は生まれ変わり――


――いつもと変わらぬ日常にうんざりとしている有吾だったが、有吾は勇気を振り絞って、いじめへの見て見ぬふりをやめた。

有吾の言葉に背中を押された奏多もいじめっ子に反撃、乱闘となってしまう。

その帰り道。ぼろぼろになりながらも、清々しい気持ちでいっぱいの有吾と奏多。

『世界って、こんなに簡単に変えられるんだな』『言葉ひとつで』

そこへ、見覚えのある女の子が、友達と笑いあいながら歩いてくる。

どこか見覚えのある、その幸せそうな笑顔に有吾は不思議と喜びを覚えるのだった……

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