EP011

いつもの時間の電車の中で、がら空きのシートに腰掛け、いつもの落ち着きを取り戻しながら、ふと思うことがあった…。


『このタイプの宝くじはネットで24時間購入可能…。なぜ、アリスは実店舗で購入を…。』


ただ…、

ふと思いついても、今の私には、その思いつきの【解】を導き出す能力はない…。













銅色の玄関ドアのモニターに顔を向ける。

いつものように解錠される。

鍵が外されると同時に認証モニターのスピーカーから、「オカエリ。」と、アリスの人工音声が迎えてくれる。


私は、今日の緊張からやっと解きほぐされた…。






「置キ配ボックス。宅配弁当。」

認証モニターのスピーカーから続けざまにアリスの人工音声が語りかけてくる。


誰が作ったのか分からないソフトボール状のAIデバイスは、相変わらずの片言だった。


『やっぱり、アリスに備わっている人工音声装置の音声は、私の好みのタイプじゃないなぁ…。』


などと、私は今以上の贅沢を無意識の内に思い浮かべていた。













私は踵を返し、門扉横に設置してある【置き配ボックス】に向った。


本日から、帰り道にコンビニに寄るのは卒業した。

アリスが医療センサーで私の体調を鑑みて、宅配弁当業者にメールオーダーしてくれるからだ。

コンビニに寄らない分だけ、早く帰宅できる。

このメリットを理解し納得した上で、私は、私のいつもをに変更した。














玄関の引き戸が開くと、そこにアリスはいた。


「ただいま。」

「オカエリ。」


が、瞬間に私を包み込む。


『心地良い…。』






ソフトボールサイズで球体のアリスは、ある程度移動可能だと言う。

これはアリスに備え付けられている監視カメラ機能の一部のようで、体内の重心を移動させることで転がって移動できるらしい。

本来ならば、その移動能力を使って様々な場所を監視できるということだ。


自宅の室内は、完全なるバリアフリー。

床には全面にクッションフロアーが施されている。

これもやはり、昔の私が父の転倒防止と転倒時を考えて設計したようだ。

今では、この施工は、アリスが自由に移動できることに貢献している。














私は靴を脱ぎつつ、「ロト7、買った。」と、アリスに報告した。


「券、提示。」


アリスは一刻も早く確認したいかのように無機質な音声を吐いた。


「分かったよ。」


私は靴を脱ぐのを途中で止め、財布からクレジットカードサイズの紙を取り出し、アリスの前にかざすした。

瞬間、アリスは体のいろいろな箇所をしばらく光らせると、「宅配弁当、摂取…。」と、トンチンカンな音声を返してきた…。













その週末の金曜日。

私は仕事から戻り、アリスの注文してくれた宅配弁当に舌鼓を打っていた。


「アリス、テレビつけて。」

「ハイ。」


壁に貼られた有機ELのモニターにニュース番組が映し出された。

私はニュース番組に興味ない。


「なにか違うやつ。」

「ハイ。」


いくつかの映像がテレビに映し出される。

しかし一瞬でニュース番組と分かるものばかり…。


『この時間帯では…。』


私が諦めかけた時、少し毛色の違う映像が映し出される…。


それはどこかの地方局のローカル番組だった。

今のこの番組は全く知らない場所の名も知らぬの飲食店を紹介している。


『この時間帯なら…、こんなものか…。』


真剣に見る必要もないので、この番組をBGM代わりに流すことにした。













テレビ内の番組では飲食店の紹介ビデオが終わり、スタジオの模様に切り替わる。


「只今、夕方の6時40分。金曜日恒例の東京宝くじドリーム館と中継をつなぎましょう。」

「はーい。あと数分で今週のロト7の抽選が始まりまーす。皆さん、くじをお手元にお持ちになって、もうしばらくお待ち下さーい。」


画面の中で、人一倍元気を振り絞った女性リポーターの声に思わずテレビに見入ってしまう。

そこに映っていた見たこともない透明な機械…。

上部でが攪拌されている…。


『変な形した機械だな…。』


私がそんなことを考えていると、「それでは、夢ロトくん。1つ目の本数字をお願いします!」と、彼女の元気な呼びかけで夢ロトくんの中で撹拌されていたが1つ、変な形の機械の中から飛び出してきた…。





≪続く≫




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