珈琲
スターバックスのホワイト・モカばかり飲むひとだった。なにかにつけてスタバ行こ! だし、飲むものはハイカロリーだし、食べるものはケーキ一択だった。
一緒にいたら太ると何回も言って、そのたびにもっと太った方が良いよと。
そういうデリカシーのなさがなんかいやだった。いやだな、と思いながら、長いこと一緒にいた。
今、付き合っている七尾さんは、コーヒーはブラックしか飲まない。
家にお邪魔したり、きてもらったりするたびに、かれは美味しいコーヒーを淹れてくれる。そのうち私もいろいろ揃えて、でも淹れるのは七尾さんの方が上手くて、その腕前にいつもあまえている。
「南さんもブラック派で嬉しいな」
と、付き合うことになる前、七尾さんが言って、私は甘いのも好きだけれど、それは隠した。ブラックだって好きだし、七尾さんが淹れるのが美味しくて飲んでいるのもほんとう。
でもたまに。期間限定のカスタムが出ているとか、そういうのを知ると、久しぶりにスターバックスいこうかな、とちょっと思う。七尾さんはスターバックスのブラックは好みじゃないようで、デートでは小洒落た個人経営っぽいカフェがほとんどだから。
ひとりで、と。思うたび、いかない。
意地になっているのかもしれない。
スタバのホワイト・モカが好きで、ケーキが好きで、なのに太らなくて。
デリカシーがなくて、いやだな、と思いながら、それでも一緒にいた。
すごくすごく好きなひとだった。
あなたじゃなくても良いと思いたい、ただ、それだけ。
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