第19話 四天王たる所以

《忠告。獅死王デス・レオンのステータスの再度確認を推奨します》


 獅死王デス・レオン Lv44

 状態:デス・エンハンス


 HP 76812/197136

 MP 197136/197136

 ATK 197136

 INT 197136

 DEF 197136

 AGI 197136


 スキル:<死の毒>、<デス・エンハンス>


 <デス・エンハンス>:HPが半分を切ったとき、一時的にデス・バーサク状態になり、ステータスを444倍にする。


《現在、獅死王デス・レオンのステータスはSS級に相当》


 くそっ、ふざけたステータスを見て完全に油断していた。<死の毒>以外にも怪しいスキルがあったんだから確認しとくんだった。197136の素因数分解はすぐにはできないが、スキルの詳細を見る限りどのステータスもおそらく444の2乗。それならば、


「今度は私たちが相手だ、デス・レオン」

「ちょ、ちょっとカズタカ、何言ってるの!?私たちには無理だよ!君もステータスを見てるんだね?」

「なんだ貴様ら、デュークよりも弱そうじゃないか」

「あななたち、早く退くのです」

「この町にはデューク以上の冒険者はいない。私たちにはどうすることもできない」


 2メートルほどの巨体が"灼熱のテトラ"からこちらへと視線を向ける。


「まずは貴様らから殺してやろうか」

「いいかデス・レオン。rad(444^2)=rad(444)=2・3・37=222だ、これくらいは頭に入れとけ」

「何をごちゃごちゃ、さっさとくたばれ!」


 デス・レオンはそういうと、のろのろとこちらへ向かってくる。


「あれ、思ったよりも遅い」

「ナリーもう一度ステータスを見てみろ」

「わ、わかった」



 獅死王デス・レオン Lv44


 HP 222/222

 MP 222/222

 ATK 222

 INT 222

 DEF 222

 AGI 222


「な、なんてかわいらしいステータス」

「ナリーの魔法なら何発でやれる?」

「うーん、このステータスなら3,4発といったところかな」

「よし、ってことはナリーなら一発でやれるな」

「え、ちょっと!一発?私の話聞いてた!?」


 AGIは私の方が5倍以上高いとは言え、戦闘素人の私ではデュークのように背後をとって鉤爪を避けながら攻撃できる気がしない。ましてやこんな短剣ではなおさら。なら、ナリーの魔法で安全かつ確実に仕留めた方がいい。ナリーは3,4発でやれると言っていたが、念のため彼女のINTを17倍にしておくか。威力とINTが比例するかもわからないし、DEFや属性相性、装備によるダメージの増減もよくわかってない。


「なぜ俺様の足がこんなに遅く......。<デス・エンハンス>を使ってないときよりも体が鈍いぞ」

「さぁナリー、奴はすぐそこまで来ている。どでかい一発をお見舞いしてやれ」

「わかりました。<炎魔法ファイア>!!」

「な、なんだっ!?この威力は!!??」


 私の隣にいるナリーから放てられた巨大な火球がデス・レオンを飲み込む。近くにいた私たちも、その熱波にやられそうだ。


「まじかよ」

「あいつら、やりやがった」

「本当に私が出した魔法なの?」

「あぁ、詳しいことは後で説明する。それよりも私にはまだやることが残っている」


 私は茫然とこちらを見る冒険者には傍目も触れず、道具屋の方へと向かう。




 ◇◇




「お前さん、やはり来てくれたか!」


 私が道具屋に来るなり、「待ってました」といわんばかりに道具屋の店長が"ヘキサウラム"の人達よりも素早くこちらへ駆け寄ってきた。


「早かったな。何とか3人ともまだ無事だ」

「本当に大丈夫なんですね?」

「あぁ、毒消し薬は3つあるか?」

「はい、ここに」


 オーク戦で31と43、デス・レオン戦で37の素数を獲得した。この3つの素数をそれぞれの毒消し薬に掛ければちょうど3つの超高級毒消し薬を生成することができる。私は手渡された毒消し薬の効能に30以上の素数を掛けていく。


「あの時の輝きが3つも!?」

「さぁ、これを3人に」


 道具屋の店長は私の動きを注視していたが、やはり何が起こったのかわからず混乱しているようだ。それもそのはず、傍からすれば私は毒消し薬を見つめていただけだからな。


「すごい、みるみる治っていく」

「嘘だろ、本当に治るとは」

「ますます興味がわいてきた!お前さん、この力で商売をしようとは思わないのかね?」

「私の力は持続しないので、売り物にすることはできませんよ。それに、死の毒の元凶である魔物は倒しましたから」

「そうか......、まぁ、いいものを見させてもらったよ」


 道具屋の店長はさすがにあきらめてくれたのか、しかしどこか嬉しそうに引き下がってくれた。反対に、今度は"ヘキサウラム"の人たちが食いつく。


「死の毒の元凶ってまさか、お前が四天王デス・レオンを倒したってのか!?」

「正確にはナリーが仕留めた」

「ナリーがか」

「は、はい」


 私の後ろからひょいっとナリーが恥ずかしそうに出てくる。まだ彼女は自分が四天王を倒したという状況を飲み込めていないようだ。


「そうか、なら今夜は宴だな!!」


 毒から復活した"ヘキサウラム"のリーダーらしき人物が高らかにそう叫ぶ。そうか、私も四天王が倒されたというこの状況を理解しきれてなかったようだ。考えてみれば、今日は魔王討伐に向けて大きく前進できたことには違いない。それに町の人からしたら、四天王討伐だなんてこの上なく喜ばしいことだろう。


「よし!ナリー、さっそくギルドへと向かうぞ!」

「えっ、ちょっ!?」


 本日の主役であるナリーは"ヘキサウラム"のメンバーたちにギルドへと強制連行された。こちらに助けを求めるナリーを微笑ましく見つめる。そして道具屋には私と店長だけが残った。

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