第18話 死の毒の元凶

「我は魔王軍四天王の一人、獅死王デス・レオンなり」

「四天王だと!?」

「これではB級のデュークでも勝てないぞ!」


 魔王軍のボスらしきライオン型の魔物がそう高らかに名乗ると、周りの冒険者はかなり動揺している。四天王ということはおそらく魔王の次に強い存在だろう。いったいどんなステータスをしてるのだろうか。


 獅死王デス・レオン Lv44


 HP 444/444

 MP 444/444

 ATK 444

 INT 444

 DEF 444

 AGI 444


 スキル:<死の毒>、<デス・バーサク>


 なんだ、このふざけたステータスは。とても四天王とは思えないし、なんなら強さはC級といったところだろう。"灼熱のテトラ"のリーダーと見受けられるデュークはB級と呼ばれていたので、ステータス的には問題ない。しかし、あいつの気になるスキルは<死の毒>。池の水の汚染はやつが原因だろうか。


「気をつけろ!奴は<死の毒>を持っている!」

「何っ、死の毒だと!?」

「あいつが元凶だったのか」

「許せねぇ」

「”ヘキサウラム"、一斉にかかるぞ!」

「「「「「突撃!!」」」」」


 そう叫ぶと六人の"ヘキサウラム"の冒険者がデス・レオンに立ち向かう。


「ぐはっ!?」


 しかし、そのうちの3人がデス・レオンの巨大な鉤爪にやられてしまう。


「あれ、思ったより痛くないかも」

「これが四天王?」

「なんだ、いけるじゃないか......、うっ!?」


 すると突然、攻撃を食らった3人が倒れこみ、もがき苦しむ。


「お前、この獅死王デス・レオン様が死の毒の元凶だとよくぞ見抜いた。しかし、だからといって対処法があるわけでもあるまい」


 やつの爪の先からは、紫色の毒々しい液体がぽたぽたと滴り落ちている。あそこが毒液の発射口とみていいだろう。


「ヘキサウラムの方たち、倒れている仲間3人を連れて道具屋に行くんだ。あとで必ず助けに行く」

「だが、死の毒って助かりようがないんだろ」

「悲しいけど、残ったメンバーで戦った方が」

「私は実際に一人、死の毒の状態から救ったことがある。どうか私のことを信じてくれないか」


 "ヘキサウラム"のメンバーはお互い神妙な顔つきで顔を見合わせる。


「......わかった」

「どこの誰か知らないが、本当に助けることができるんだな」

「あぁ、人数分の低級毒消し薬を用意しておいてくれれば問題ない。私が来るまでポーションなどで延命させておいてくれ」


 そう言うと彼らはそれぞれが一人を背負い、道具屋の方へと向かっていった。ここまで言ったからには確実に助けたいが、現在持っている30以上の素数はオークとの戦闘で得た31と43の2つ。3人助けるにはあと一つ足らないな。


「馬鹿め。俺様の毒から助かろうだなんて、無駄なことよ」

「デス・レオンよ!貴様はこのデュークが相手だ」

「かかってこい、人間!」

「デューク、サポートします。<高速化ヘイスト>!」


 デュークは猛毒の鉤爪を避けるようにしてデス・レオンの背後に高速で回り、攻撃を仕掛ける。"灼熱のテトラ"の一人がデュークに素早さのバフをかけたようだ。


「喰らえっ!<煉獄斬り>!!」

「ぐはっ」


 背後に深傷を負ったデス・レオンはすでにHPが半分を切っている。もう一撃で決着がつくだろう。


「貴様、まさかもう俺様に勝ったつもりじゃないだろうな。俺様が四天王に上りつめた所以を教えてやるよ」


 そう言った次の瞬間、デス・レオンの鉤爪はデュークの胸に深く突き刺さっていた。


「デュークッ!?」

「今助けます、<回復魔法ヒール>!」

「だめだ、彼はもう死んでいる」


 デス・レオンの動きが全く見えなかった。素早さにバフのかかったデュークの動きでさえ私は何とか視認できるレベルだったが。確か、あいつのステータスは全て444のはず。しかし、どう考えても今の動きはAGI444どころの速さじゃない。


「あっ、カズタカ!」


町の方からナリーがこちらへ走ってやってくる。とても大きなリュックを背負っているが、どうやら私の道具袋ではなく、彼女のもののようだ。


「ナリー、荷物回収はできたか」

「うん、カズタカの毒消し草もギルドに渡して報酬をもらってきたよ」

「あぁ、ありがとう」

「で、これが魔王軍だね。ルーシーから話を聞いたよ。デュークを一瞬でやるなんて、とんでもないやつだ」

「奴は四天王らしい」

「だろうね、この化け物じみたステータスからもわかるよ」





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