過去編・第2話 器用貧乏
「なぁ、福音。分子生物学のノート見せてくんない?」
「また?カズ君、いつもテスト前に頼ってくるよね」
「この単位を落としたらまずいんだ。頼むよぉ」
「はぁ、いつも講義中隣で寝てるくせに。ほんとにカズ君は自分の専門分野にしか興味がないんだね」
ぐちぐちいう割にはスッとノートを手渡してくれる。
まるで、今日この時間にノートをせがまれると知っていたかのように準備がいい。
彼女のノートは字がきれいで、レイアウトも整っておりすごく見やすい。
これだけはとてもまねできそうにない。
「いやぁ、いつも助かる!」
「全く、後学のためにもちゃんと全部の講義をまじめに受けなさい」
「はいはい」
◇◇
「福音!おかげでギリギリテストに合格できたよ!」
「......」
「おい、福音?」
「落ちた」
「え?」
「2点足らなくて、落ちた。来週再試」
「まじかよ」
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