第10話 最弱スライムの使い道

 マザースライム Lv50


 HP 7770/7770

 MP 752/755

 ATK 1035

 INT 510

 DEF 4091

 AGI 381


 マザースライムは合計6体の巨大ベビースライムを分裂させたが、いまだに勝てそうにないステータスだ。特にHPとDEFが厄介である。HPの7770の素因数分解は容易だ。111=3・37は素数界隈では常識。これを使えば、


 マザースライム Lv50


 HP 2・3・5・7・37/2・3・5・7・37


 すぐに素因数分解が可能だ。しかし、全ての素因数が一つずつしかないため、rad(7770)=7770であり、<根基ラディカル>でHPを減らすことはできない。それにDEFに至っては、この状況下では素因数分解することすら難しそうだ。


《マスター。もし戦闘を継続するなら、ベビースライムを倒してマザースライムに<分裂>させ、ステータスを減らすのが良いかと》


 それも考えたが、初見である炎魔法ファイア以外の魔法を使われたら即死しかねないし、ここは早期決着に持っていくしかないかない。


 なぁ、助手さん。素数表の素数はステータスに掛けることができるんだよな。


《はい》


 それは、私以外のステータスにも可能ってことか?


《確かに、一定時間なら可能です。しかし、マザースライムのステータスに素数をかけたところで、根基が小さくなることはあり得ません》


 ステータスを掛けたら、な。しかし、足し引きすれば話は別だ。


「いけ!ステータス調整スライム!」


 ベビースライム Lv1


 HP1/11 (11)

 MP 1/1

 ATK 1

 INT 2 (2)

 DEF 5 (5)

 AGI 1


 私は素数によってステータスを変化させたベビースライムを小袋から取り出してはマザースライムに投げつけ、吸収させる。


 マザースライム Lv50


 HP 7771/7781

 MP 753/756

 ATK 1036

 INT 512

 DEF 4096

 AGI 382


 よし、思った通りにマザースライムのステータスを調整できた。512=2^9、4096=2^12なので、INTとDEFの根基はともに2となる!


「2の累乗くらい覚えとけっ!<根基ラディカル>!!」


 マザースライム Lv50


 HP 7773/7781

 MP 753/756

 ATK 1036

 INT 2

 DEF 2

 AGI 382


「これなら死ぬ心配はないな」


 おそらくマザースライムはあの巨体のせいで、ある程度距離をとっていれば物理攻撃はしてこない。今最も注意すべきは3体のベビースライムに囲まれないこと、それだけだ。


《このステータスなら、マスターは約10分で討伐可能です》


 いや、10秒もいらないさ。確かにマザースライムは現在、莫大なHPと自己再生能力を持っている。だが、あと少しでマザースライムのHPが7776/7781になる。そのタイミングで、


「7776=6^5くらい覚えとけっ!<根基ラディカル>!!」

「グオォォッッ!!??」


 <根基ラディカル>を唱えた途端、マザースライムの体が急激にしぼんだ。


 マザースライム Lv50


 HP 6/7781


「ほらな、10秒もいらない」




 ◇◇




 その後も問題なく残りのベビースライムを倒し、消えかかったたいまつを拾い上げる。


「出口まで持ちそうにないな」


 洞窟の奥ではいまだにベビースライムが燃え上がっているが、私は小さくしぼんだマザースライムの死骸をたいまつにペトッとくっつけ燃料にする。


《マスター、さすがに残虐かと》


 いやぁ、すかっとするなぁー。正直かなりぎりぎりの戦いだった。ここまで異世界で頭を使うとは思わなかった。とっさにこんなことが思いつけたのもINTをあげたからか?


《それとマスター、レベルアップにより新たなスキル<素数判定強化>を獲得しました》


 素野数隆 Lv11


 HP 851/1147 (37)

 MP 46/62 (2)

 ATK 713 (23)

 INT 403 (13)

 DEF 589 (19)

 AGI 527 (17)


 スキル:<素数プライム・ナンバー>、<助手アシスタント


 <素数プライム・ナンバー>:<判定>、<素因数分解>、<根基ラディカル>、<素数表>、<素数判定強化>


 素数表:2,3,7,13,31,37


 <素数判定強化>:MPを消費し、素因数分解の速度を上昇させる。効果は消費MPの量に依存する。




――――――――――


【コラム】3と9の倍数判定法


 ある自然数が3の倍数であることと、全ての桁の数の和が3の倍数であることは同値である。例えば111は3の倍数だが、確かにすべての桁の数の和は1+1+1=3でこちらも3の倍数となっている。これは9の倍数についても言え、例えば432は9の倍数だが、確かに全ての桁の数の和は4+3+2=9で、9の倍数なっている。

 111=3・37を知らなくてもぱっと見で111は3の倍数だとわかるので、すぐに素因数分解ができる。

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