第8話 スライムの巣屈
「ここが例の巣屈です」
「これが......」
案内されたのは小さめの洞穴であった。
「中は暗くて危険です。こちらのたいまつをどうぞ」
「あぁ、ありがたい。しかし、どうやって火をつければ」
「あんた、魔法が使えないんか。よしっ、まかせろ。<
農家のおじさんがそう唱えると小さな火球が魔方陣から現れ、たいまつに火をともした。これが魔法......。そういえば、異世界転移したんだっけな。自分の能力は素数に関するものばかりで、あまり元の世界から頭が抜けてなかった。
「俺も昔はあんたみたいに冒険者をやってたもんでな。今は衰えてしまったが、これくらいはたやすいもんだ!」
そういうとおじさんは腰に手を当て、豪快に笑う。最初にあったときは付き合いの難しい人だと思っていたが、実は気さくでいい人なのかもしれない。
洞窟を進んでいくとどんどん暗さが増していく。たいまつがなければ以来の達成は不可能だった。カウンターのお姉さんが言ってた通り、ちゃんと道具をそろえることができれば。あるいは、魔法が使えさえすればなぁ。
《アドバイス。マスターの魔法適性は皆無。この依頼の後に道具をそろえるか、魔法使いをパーティーに入れることを推奨します》
まじか、知りたくなかったな。まさか異世界にきても魔法を使える可能性がないなんて。
さらに洞窟の暗さは増し、空気が薄くなっているせいか、たいまつの火も私の心のようにか細くなっており、数メートル先までしか見えなくなってしまった。幸運にも分かれ道などはなく、方向音痴の私でも迷う心配はなかった。
「しかし、どんどんスライムが大きくなってるな」
洞窟中にもベイビースライムがちらほらいたが、先に進めば進むほどスライムのサイズが大きくなり、ステータスも比例して大きくなっていた。しかし、2,3倍ステータスが増えたところで数は多くないし、問題ないな。
「ピキィ!」
「ん?」
突然右から何かがぶつかってきた。
よく見てみるとそれは小さなピンク色のスライムであった。
ベビースライム Lv1
HP 1/1
MP 1/1
ATK 1
INT 1
DEF 1
AGI 1
「なんと貧相な」
スキルもなければ全ステータスが1である。だが、ほかのベビースライムとは違ってかなり好戦的であり、唯一私にダメージを与えたベビースライムでもある。にしても、この完成されたステータスからは何らかの可能性を感じるな。
「ピギィッ!!??」
私の予想が正しければ、こいつは後でかなり使えるかもしれない。私は嫌がるベビースライムを空っぽの小袋の中に詰める。
《マスター。かなり残虐かと》
いいんだ。依頼達成には仕方がない。
《......、そうですか》
助手にも人間味があるんだな。これでは私の方が無機質な残虐マシーンのようではないか。
◇◇
《マスター。十数メートル先に親玉のスライムがいます》
了解。では手に入れた素数をステータスに掛けて、ボス戦の準備を進めますか。助手が言っていたように、魔法適性のない私にはMPとINTは上げる必要はないだろう。
《アドバイス。現在MPを消費するスキルはありませんが、INTは素因数分解する速さにもつながります》
なるほど、知力は魔法の威力だけでなく、頭の回転の速さにも影響するのか。年齢的に私の素因数分解の速度にはもう限界が来ていたと思っていたが、これなら機械よりも速く計算できる日が来るかもしれないな。
素野数隆 Lv9
HP 851/851 (37)
MP 34/46 (2)
ATK 529 (23)
INT 299 (13)
DEF 437 (19)
AGI 391 (17)
スキル:<
<
素数表:3,5,7,11
よし、MP以外全ステータスが基礎ステータスの10倍以上。カウンターのお姉さんの発言的にこのステータスならC級冒険者並みだろう。それに、素数表にも余裕ができたし、ちゃっかり2を現在HPにかけて全回復した。どうやら最大HPを超える分はなくなってしまうらしい。
そして、
「お前が親玉か」
暗くて全貌はよく見えないが、目の前には体長3メートルほどの巨大な塊が洞窟の最奥に鎮座していた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます