第7話 スライム軍団

「いやぁ、最近スライムが私らの畑を襲っては、作物を食い尽くしていくんです」

「幸い攻撃的ではないが、数が多い。俺ら農家の力ではほとんどを逃がしてしまう」

「このままでは年貢を納めることも......」

「年貢?」

「あぁ、もしかして王都の方ですかな?私たち農民は毎年一定量の作物を納めないといけないんです」


 年貢か。かなり封建的な世界なんだな。


「王都民のあんたにはわからんかもしれんがな、おかげでこっちは毎年食べ物の値段が高騰。年貢を納めるのでみな手一杯なんだ」


 そう言うと、依頼主である老夫婦は互いに顔を見合わせ、どちらも苦悶の表情を浮かべている。確かに、私が泊まっている宿も食事代は宿代の50%もしていた。冷静に考えればかなり高いな。この依頼を達成すれば食事代もかなりましになるかもしれない!


「おい!またスライムらがきたぞっ!!」


 遠くから別の農家の夥しい叫び声が聞こえる。


「くそっ、またか!どんどんペースが上がってるな」


 私と老夫婦は急いで声のする方へと走る。するとそこには数十の色とりどりなスライム軍団が近づいてきていた。こいつらが畑泥棒上州ジャンのスライムか。しかし、同時にこの数を相手できるだろうか。


「あんた、これくらいはいけるのかい!?」

「......、やってみます」


 早速<判定>を使い、スライムのステータスを見るが、



 ベビースライム Lv.5

 HP 22/22

 MP 0/0

 ATK 6

 INT 1

 DEF 4

 AGI 16


 スキル:<粘液>、<消化>、<吸収>


 <消化>:粘液により、有機物を高速で分解する

 <吸収>:消化によって得たエネルギーにより、ステータスを向上させる



 前のスライムとは名称が違う。ベビースライムか。いわれてみればサイズは小さめだな。それに<消化>と<吸収>というスキルも初めて見た。おそらくこのスキルで農作物を食い荒らしては自身のステータスの糧としているのだろう。しかし、なんども畑を襲っているにしてはステータスが低い気もするが。


 私は全速力でベビースライムの方へと向かい、素因数分解をしながら斬りつけていく。ATKとAGIが前回の何倍にもなっているからか、軽やかにスライムをなぎ倒すことができる。また、30体近くのステータスを素因数分解したおかげで、19までの全ての素数が集まった。


「おぉ!さすがは冒険者だな!」

「えぇ、あっというまですねぇ」

「一切農作物にも被害は出てませんよ!」


 その場にいた農家さんたちから絶賛の声が上がる。


「これなら巣屈の駆除も信頼できるな」

「そうですねぇ。この人なら......では巣屈の入り口までは私たちが案内しましょう」


 私の戦いぶりを見て農家さんたちの表情は一気に明るくなった。しかし、<判定>で見たベビースライムのスキルとステータスの違和感がどこか引っかかる。なんだか、そう簡単にこの依頼を達成できる気がしない。私は農家さんたちとは対照的に、得も言われぬ不安を抱えたまま巣屈へと近づいて行った。


《レベルアップしました。マスターのステータスを表示します》


 素野数隆 Lv9


 HP 629/851 (37)

 MP 34/46 (2)

 ATK 161 (7)

 INT 23

 DEF 115 (5)

 AGI 69 (3)


 スキル:<素数プライム・ナンバー>、<助手アシスタント


 <素数プライム・ナンバー>:<判定>、<素因数分解>、<根基ラディカル>、<素数表>


 素数表:2,3,5,7,11,13,17,19

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