第2話 プライムナンバー
《最も崇高なる能力とは、<
は?
《マスターに与えられたスキルは、<
助手というのは、頭の中でするこの女性の無機質な声のことだろう。このスキルが女神の言っていた「魔王討伐のサポート」に当たるのだろう。しかし、素数が最も崇高なる能力とはどういうことだろうか。確かに、素数は英語でプライムナンバー。プライムには「主要な、最高の」という意味もあるが、異世界ものらしくないというか、そもそもどういう能力なのかも全く見当がつかない。
《マスターの能力の理解には時間がかかると予想。市場を出て、実際に魔物と戦闘することを推奨します》
腑に落ちないところもあるが、今は助手の指示を聞くのが最適解だろう。
私は魔物が出現する場所へ向かう途中、助手から私が授かった能力の詳しい説明を聞いていた。どうやら<
<判定>
対象のステータスを確認する。
<素因数分解>
判定した対象のステータスの値を素因数分解する。
<
素因数分解が完了した対象のステータスをその値の根基に変える。
根基:自然数nが持つ、互いに異なる素因数の績。rad(n)とも表記する。
例えば、100なら2と5を素因数に持つので、rad(100)=2・5=10となる。素因数分解したときの素因数の指数を全て1にしたものと思ってもらえばいい。
ん?待てよ......。これってかなりぶっ壊れスキルではないか?この三つのスキルを順に使えば、場合によっては相手のステータスの値をとんでもなく小さくすることができる。ステータスの値が53万だとしても、rad(530000)=530だから、千分の一にすることができる。フリ〇ザをラデ〇ッツ以下の戦闘力にすることだってできるのだ。
《ここが魔物の出現する草原となります。前方にスライムが三匹、こちらへと向かってきています》
市場を出て開けた草原に来ると、数十メートル先に青い三つの塊がこちらへゆっくりと来ているのがわかる。
スライム Lv.3
HP 40/40
MP 4/4
ATK 10
INT 5
DEF 4
AGI 6
スキル:<粘液>
スライムをじっと見つめるとステータスが浮かび上がってくる。これが、<判定>か。ステータス名はアルファベットだが、上から体力、魔力、攻撃力、知力、防御力、俊敏さといったところか。ステータスをじっくり見ると、その他詳細な情報も見れる。
スライム 種族:スライム族
スライム族:様々な地域に生息する魔物。大きさや色、属性などは多様であり、主に生息地に由来する。戦闘ではその粘液を利用して相手の動きを止めたり、スライムによっては強力な酸による消化が可能である。
名前の欄をじっと見ていると、スライム族に関する図鑑のような説明が目に入ってくる。この世界の常識を全く知らない私にとって、かなりありがたい機能だ。
《では次に、<素因数分解>を実行してください》
分かった。どうすればそのスキルが使えるんだ?
《実際に頭で計算するのです》
......なんかパッとしないなぁ。てっきり、自動でやってもらえるものだと思っていたが。しかし、私は何十年も素数と向き合ってきた。これくらいの数の素因数分解は造作もない。
スライム Lv.3
HP 2^3・5/2^3・5
MP 2^2/2^2
ATK 2・5
INT 5
DEF 2^2
AGI 2・3
うわー、すごく見づらい。頭の中で素因数分解を進めると、相手のステータスの表記も変わっていく。
《素因数分解の完了を確認。スキル、<
スライム Lv.3
HP 10/10
MP 2/2
ATK 10
INT 5
DEF 2
AGI 6
これは自動なんだな。
《これで一体のスライムのステータスを下げることができました》
なるほど、三匹一気にできるわけでもないのか。
私は早速、一匹だけ先に無邪気に近づいてきた弱体化スライムを短剣で斬りつける。HPが1/4、DEFが1/2になっているからか、戦闘素人の私でも一撃で倒すことができた。
《スライムを倒し、マスターのレベルが上がりました》
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