第5話 製作者の意地の悪さ
しかしこれ、色々と考えられてるなと思える。
どのヒロインに手を出すと強化要素を使えるかとか、逆に得てしまうとトゥルーエンドに辿り着けなくなるとかが組み合わさってる。
なんて考えてたら水樹がまだネタがあるらしく、話しかけてきた。
「これエグイのが一つあってな」
「なんだ?」
「誰に手を出したかで皆の立ち絵が微妙に変わる」
「え?」
誰に手を出したかで立ち絵が変わる……?
ここまで来ると、このゲームが細部にまで作りこまれてるのが分かるな。誰に手を出したか分かるようになってるのか?よくある超直感とかご都合主義でか?
「もしかして、手を出したか隠してもバレるのか?」
「幼馴染以外は即座にバレる」
「どういう部分で?」
「種族特性で気づかれる」
水樹が語るには、獣人だとその鋭い嗅覚で洗って臭いを落とした勇者から女の臭いをかぎ分けてしまい、交わった事を感知してしまうそうだ。
サキュバスはサキュバスで性に奔走する、言い方が悪いが性に特化した種族。どれだけ隠そうが、誰とやったかすぐさま見分けがつくらしく、サキュバスの前に性の隠し事は無意味とされている。
ユニコン族は処女じゃない、童貞じゃないと本能で察する事が出来る。ある意味超直感だが、元のネタになったユニコーンの事を考えると元ネタに合わせた即時理解能力を持ち合わせてる。
魔貴族は魔力感知に長けており、交わり合うと問題無い程度ではあるが各々に少し魔力が移るそうで、それでその人以外の魔力を持ってるとその人と交わったと気付く事が出来るそうだ。
「で、これでエグイのが、幼馴染に手を出したか、他に手を出したかでまた変わるんだ」
「え、そこでも分岐かよ」
「そう。序盤と中盤で幼馴染に手を出した場合をよく見てくれ」
そう言われてロードした画面をよく見てみると、序盤で手を出したデータだと、他のヒロイン達が頬を赤らめた立ち絵が誰一人いない。だけども笑顔なのはわかる。
序盤で手を出さずに全員集合時は皆の立ち絵は頬を少し赤らめて笑顔なヒロイン達の姿が写し出されている。
だが、中盤で幼馴染に手を出した場合のデータをロードしてみると、笑顔だが序盤で手を出したルートと同じように、よく見たら赤らめた頬が消えている。
え、こんな所で違いだしてたのか……?
「これ会話できるんだけど、中盤で幼馴染に手を出すと幼馴染が皆からお祝いされるんだ」
「あれ?受け入れムードなんだな」
「女としてそういうのは分かるんだとか」
気付かれるとはいえ、思いが結ばれる事自体は喜ばしく思うのか他のヒロインも。まあ好意が実を結ぶ展開を嫌うのは逆張りか、そのキャラが嫌いじゃないとってなるよな。
……。え、気づかれるって事は。
「……おい待て。これ、幼馴染以外に手を出すとどうなる?」
そう思って、中盤の幼馴染に手を出す場面で手を出さず、とりあえずヒロインの一人、獣人に手を出した。個人的にステータスの暴力に目が引かれたから。
そしたら誰の目で見ても分かる様に立ち絵がかなり変わった。
水樹も気づいたかと笑顔で俺を見てる。
「エグイだろ?」
「……なんでこっちを睨むようなものに変わってるんだ」
獣人は更に笑顔を深め、赤らめた頬を更に赤くしている。
だが、他のヒロイン達の立ち絵から、笑顔が消えている。それは幼馴染も例外じゃなく、笑顔だった顔から、冷たい視線に無表情の状態になっている。
まるでお前が何をしたのか分かってるからなと無言の圧力を押し付けられるような状態だ。
「おい、なんで幼馴染まで変わってるんだ。バレないって」
「バレないとは言った。じゃあ他の要素を考えてみろ」
ほ、他の要素だと……?勇者と同じ
「じゃ、NTRシーンを語っていくぞ。正直、他の類を見ないえぐさと罪悪感に潰されるぞ」
だろうな。こんなちょっとした差分でコチラを見てくるんだから。
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