第4話 エロゲ全否定なラスボス

「次、頭に一本角が生えたユニコン族だ」

「……もしかしなくてもユニコーンか?」

「よく分かったな。処女厨と童貞厨しかいない種族だ」


エロゲ特有のぶっ飛んだ種族が出てきた。

しかしユニコーンってアレだろ?非処女が近づくと暴れ出す、穢れを知らない者しか乗せないやべーヤツ。それの人型で女の子版まであるって凄いな。

見た目としては馬の耳を付けて額に一本の角がある人間って感じ。でも力は人間を遥かに超える存在だ。


「で、この種族は処女と童貞、共に卒業する事で幸せが訪れると言い伝えられていて、勇者が童貞な為に興味をもつんだ」

「ほうほう。悪くない」


という事は幼馴染を序盤で手を出さなかったら、ここで勇者はそれまでの旅で幼馴染に手を出してない事が発覚するのか。

勇者の立場を利用しようとしてない真っ当な勇者なんだな。けど、プレイヤー次第とはいえ、ここからどうユニコン族に靡くんだ?


「で、ピンチに陥った所を助けられ、惚れる。言い伝えを信じてるユニコン族は勇者を誘うようになるんだ」

「まあエロゲだからそこで誘うようになるのは自然か」


一々ツッコミを入れる訳にもいかないが、どこか急展開になるのもエロゲらしいと言えるような気もする。

シーンとしては、うん。バックが中心だとか。角でお互いを傷つけない様にする為にらしい。

そういえばユニコン族の強化要素って何なんだろうか。


「で、アンロックされるのは常時物理反射と属性ダメージ軽減の電撃アーマーだ」

「これまた凄いな……雷系統を扱う子なのか」

「そうだな。その子自身も自然の雷を使うから魔法反射を無視して攻撃できるって特徴もある」

「とんでもない子だな」


ユニコン族も強い物を持ってるのが分かった。安全に進めたい人ならこのユニコン族を選ぶだろうなと思わされる防御性能だ。


「最後に魔族だ。しかも貴族の立場にある、魔貴族だ」

「あ、別に魔族と敵対してる訳じゃないんだなこの世界」

「根源が魔物を異常発生させてるって設定だからな」


なるほど、世界の敵が魔物を生み出す根源なのか。よく考えたらサキュバスや魔貴族がヒロインにいるのに勇者が敵視してないもんな。

で、この子は色々と難易度が高そうだが、はて。


「魔貴族の子は、その高すぎる魔力を持て余して魔法が暴発するんだ」

「爆弾かー。それは厳しそうだな」

「で、勇者が溢れる魔力の受け皿になる事で安定を図るんだ」

「おぉー勇者らしい行動」


なんかここまで来ると、ハーレム化してるのも何となく納得がいく。皆それぞれの悩みを勇者ならば解決できるようにと、誰を選ぶか選択肢を与えてる様に思えるから。


「魔貴族としても、自身が爆弾化しかねないのに受け止めてくれる存在、しかも勇者だから格の問題も無し。と、惚れこむようになる」

「よく練られてるなー」

「ちなみに強化要素は魔法反射のマジックアーマーと魔法反射無効だ。ちなみに魔法反射無効は威力がありすぎて跳ね返せないって設定だ」

「攻防一体の強化か」


相手の魔法を無効ないし反射破りしつつ、こっちの魔法を無理やり通す理不尽さ。溢れる魔力と貴族らしい横暴さと強さを兼ね備えた能力だな。


「で、そんなパーティ編成で根源を無事絶って、世界は平和になりました……にするには、色々条件がある」

「どんな条件だ?」

「主人公御一行が処女と童貞を貫いてる事」

「エロゲ全否定じゃねえか」


ネタバレ全開だから分かることとはいえ、なんか凄い根源の断ち方だなおい。

いやまあこんなシステム作ろうとしたら、とてもじゃないが一般向けには売ることができないエロゲならではの手段ではあるけども。

あれ、それだと各々のルートに入る事で手に入る強化要素、一切受け取れないって事か?


「あれ、てことは誰かを攻略はバッドエンドってことか?」

「正確にはノーマルエンド。別名、個別エンドの特徴は長い年月をかけてまた復活するってだけで、その時にはまた勇者が現れるって設定だから」


テキスト違いというか、差分をちゃんと用意してあるのはその制作者はかなり力を入れてこのエロゲを作ったんだな。ありきたりなエロゲからかなり外れてるけど、だからこそ斬新さで皆の注目を浴びたのか。

現に販売数がトップに食い込みかねない程の人気だ。


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