第24話 シンキングタイム3秒
ホームルーム後。
今日こそ何もなかった。
後は帰るだけ――というときに俺に対してかけられた声。
声の主は――今日俺の昼休みをドタバタにした野郎だ。
名前をマジで覚えてないから良く焦げたハリネズミで通しているが。
マジでこの良く焦げたハリネズミなんなの?
飛鳥さんに興味持ちすぎじゃない?
まさかまさかの中身の存在に気が付いていて探りを入れようとしている?
それは――まあないと信じたい。
俺の飛鳥さん自由計画がさっそく終わっちまうじゃないか。
とにかく、良く焦げたハリネズミの登場で、普通にクラスに残っていた人の視線が集まっている。
何々?といった雰囲気の小言が耳に届く。
周りもおかしな組み合わせに興味ありといった様子。
やはり普通に考えて――あいつ。良く焦げたハリネズミはマジで飛鳥さんの事気になっている説?
それとも――俺の知らない過去の中で何かあったと思うべきか――まあそう考えると先週いきなり登場していきなり壁。盾になった理由もわからなくもないが――にしては飛鳥さん側に良く焦げたハリネズミの痕跡がないんだよな。
わからん。
ってか、帰らせてもらってもいいだろうか?
無視していいよな?
今の俺の選択肢としては逃走――。
「飛鳥さん」
あかん。
もう目の前に良く焦げたハリネズミがおる。
シンキングタイム何秒だよ。
考えてからすぐに来たぞ。
というか俺が余計なことを考えすぎた?でも頭の中で思っていたのはほんの数秒だったはずなのに――もっとカップ麺が作れるくらい考える余裕くれよ。
今日は何もない日だった。って終わりたかったのに終わらなかったぞ。
まあお昼に絡まれた時点で、何もない日ではなかったのだが――。
逃げるという選択肢が選べないため。周りのチラチラある視線も感じつつ俺は口を開いた。
「――何か御用でしょうか?」
「なんでそんなに硬いかな」
硬くなるだろうが。
急にここでフレンドリーに俺が話し出したらそれこそこのクラスが崩壊レベルで何か起こるかもしれないぞ。
っか、今思い出したぞ。
もしかしてこいつ――昼休みの続きで来たんじゃないか?
「何もないなら帰り――」
「いやいや、昼休みの事」
「……」
あかん。マジで昼休みの事だった。
こいつマジでなんなの?
俺的にはマジで大丈夫だったのに。なんで過保護レベルで接してくるんだ?
「大丈夫です。では」
ここで捕まるとさらに面倒と察した俺は荷物を持つとすたすたと良く焦げたハリネズミの横を通過するが――。
「ちょ、飛鳥さん待ってくれ」
良く焦げたハリネズミやはり追いかけてくる。
クラスの視線は驚きなど色々な雰囲気でこちらを見ているのは言うまでもない。
スタスタと歩くがすぐに良く焦げたハリネズミが追いついてくる。
本当は走って逃げたいがどう考えても逃げれる気がしない。
あと、寮へと逃げかえるということはつまり部屋の場所を教えることになる。
なので学園から出るに出れない。
なお、いまいちまだ寮のことなどが分かっていない俺は、実は今俺を追いかけている良く焦げたハリネズミが同じ寮生ということも知らず。
また学園の寮は実は男子が手前。女子が後ろであり。基本他人の部屋は立ち入り禁止。会話がしたい場合は食堂か。外でとなっているのだが――。
今の俺良く焦げたハリネズミから逃げて逃げて――結果学園の最上階へと向かっていた。
何故最上階へ向かったか。
単に人がいない場所を選んで進んでいったら最上階となったのだ。
そしてかっこよく追い詰められた風の演技でもしているのかと思った人もいるかもしれないが――俺の元の身体なら階段上がり。逃げ回るくらい余裕だったのだが――。
「――ぜぇ――ぜぇ――ぜぇ――」
「えっと――飛鳥さん大丈夫?」
「だぎぇの――ぜいじゃ――ぜぇ――」
飛鳥さんの身体では今のところ逃げ回るのはかなり厳しかったらしい。
すぐにスタミナが切れた。
しかし良く焦げたハリネズミから何かを考える暇もなく。必死に逃げようと限界を超えたため――今はもう全く動けない状態となっていた。
学園の最上階。食堂などがある場所は――放課後となると静かで人は居らず。食堂もこの時間はしまっていた。
そんな場所で息を切らし。ほぼ倒れる寸前の女子生徒と少しオロオロしている男子生徒という謎な組み合わせが出来たのだった。
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