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所有者が打ち合わせで採石場に訪れた日、採石会社の代表との話し合いを終えて帰途につこうとする彼に話しかけた。
はじめは彼も愛想笑いを浮かべていたが、わたしの自己紹介を聞いて顔色を変えた。
「不躾なことを訊かせてもらうが、あんたの苗字はご両親どちらの?」
「母です。幼いときに両親が離婚しているので」
「そうか。もしかして、親父さんは●●という姓じゃないか?」
「そうですが……父をご存知なんですか?」
そう尋ねながら、わたしは父の姓と山の所有者一族の姓がひとつの漢字を共有していることに思い至った。
「親父さんから聞いていないのか?」
「何をです?」
「いや、聞いていないならいい。知るにしても本人から直接聞いた方がいいだろうしな。親父さんと連絡は?」
「いえ、父はずっと行方不明ですから」
「お母さんがそう言っているのか?」
「ええ。それがなにか……」
「とても言いづらいんだが、あんたの親父さんは行方不明なんかじゃないよ。ぜひ会ってみるといい」
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