第5話 高校生のしお先生へのはんこう
社会の担当のしお先生話当時28歳だった。
立命館大学を卒業して、社会科の先生になった。
担任になってもらったことはない。
二年は倫理社会、三年は政治経済を教えてもらった。
この先生は全く教科書を使わない。
自分でプリントを作り、それが教科書代わりだった。
だから、テストは教科書なんて勉強しても意味がない。
しお先生は面白い授業で人気があったが、どうにも胡散臭い気がしてた。
私は先生を露骨に無視した。
何故?
なんか、ちやほやされて、テレビドラマの熱血教師そのまま、ギター弾いて歌うとか耐えられないと思ったから。
そんなもんには乗りたくない!
人気とりなやな奴。
だけど、授業はどんどん惹かれて行った。
当時、家庭の事情は変わらないし、この先どう生きるのかって悩んでたから。
頑張って資格をたくさん取って成績も良くたって、就職の時には戸籍調べや銀行なんかは親に負債があるかどうかまで調べられた時代だった。
それがわかった時、なーんかやんなってしまった私だった。
大学に行くなんて可能性ゼロだし。
こんなに頑張ってきたのに、たいして頑張らない子達より、小さな名もない零細企業くらいしか受からないと思うとやるせない気持ちでイライラしていた。
そんな気持ちに授業はドンピシャだった。社会の仕組みや考え方、社会に蔓延る差別とかは教科書じゃたったの一行程度。
それを深く教えてくれたから。
でも、やなんだよね。みんなと迎合することが、、、。
だから、ずーっと無視してたけど、テストは満点だった。テストにはコメントが書かれていた。
「まる文字みたいに性格も丸くなればいいのにな。」
先生も私達が嫌ってるのわかってたけど、態度は変わらなかった。
この先生との出会いが無ければ、今の私は無いと言える人である。
でも、最後までお礼も言わなかった。
後年、やな話を聞いた。
当時の担任してた女子生徒と再婚したって。その子を知ってたから余計に生々しくて気持ち悪かった。
浮気してたんたって、不倫の時期あったんだって。
えーっ!奥さんも息子さんもいたのにーー!しかも先生の親と同居までしてくれてたのにーー!
やっぱり、チャラかったんだと多いに株が下がった。
が、看護師の道を選んだのはこの先生の影響だと思う。
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