第7話

例えば、サッカー部や野球部のエースなんて

呼ばれてる人たちには


常に数えきれないぐらいの

ギャラリーが貼りついていて。


女の子たちの間に『○○くんはみんなのアイドル』

という暗黙の"抜け駆け禁止ライン"が張られて。



最悪の場合、


守りに守られた○○くんは最終的に

部のマドンナ兼マネージャーの××ちゃんと

イイ感じになって幕が下りたりする。




そんなの私だったらきっと耐えられない。




「きゃぁぁぁぁあああっ

そーがーくぅ―――んっっ」



「そがせんぱぁ――いっ、こっち向いてぇー!!」



「かっこいぃぃ―――っ!!!」








…まぁ、




曾我先輩の人気も侮れないのだけれど。




武道場の隅っこに溜まる先輩のファンの中に、

こうして今日も私は埋まっている。


手を振りかざして先輩の名前を叫べるまでの

勇気はまだない。

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