だって 2

第6話

活気のある掛け声。


カシャンカシャンと竹刀のぶつかり合う音。



ピンと伸びた背筋に、


力強く一歩を踏む足に纏う袴。




大きく開けられた窓や入口から

静かに風が入り込んで


もやもやした熱気を捉え去って行った。






「……か、かっこ良すぎる…っ」



私の視線の先にいるのはもちろん曾我先輩で。



毎日見ていても飽きない先輩の剣道着姿。



主将という立場にふさわしい、

凛々しい立ち居振る舞いに

どこか紳士のような落ち着いた物腰。



爽やかな優しい笑顔で

後輩たちに稽古をつけてあげている横顔に

キュンとさせられたかと思えば、


竹刀を構えた瞬間、

その真剣で真っ直ぐな瞳に釘付けになってしまう。




こんなにも毎日先輩をすぐ近くで見られるなんて

なんて幸せ者な私なんだろう。






付け加えれば、なにがいいかって




剣道部にはサッカー部や野球部ではお決まりの


『女マネージャー』がいないことだ。

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