第18話 盤上の戦、迫りくる嵐

 大坂の陣を前に、立花宗茂は静かに将棋盤に向かい合っていた。盤上には、戦場を模した駒が並べられ、宗茂は一人、戦況をシミュレーションしていた。

「徳川の軍勢は、やはり強大か…」

 宗茂は、駒を動かしながら、呟いた。

「しかし、我ら豊臣方も、決して引けは取らぬ。真田の赤備え、毛利の軍勢、そして、わが立花勢…」

宗茂は、駒を睨みつけ、戦術を練り始めた。

「敵は、必ず大坂城を包囲してくる。ならば、我らは城に籠り、徹底抗戦する。敵の兵糧攻めを凌ぎ、機を見て反撃に転じるのだ」

 宗茂は、駒を動かし、城を守る陣形を組み立てた。

 その時、宗茂の息子が部屋に入ってきた。

「父上、何をされているのですか?」

 宗茂は、息子に将棋盤を見せた。

「これは、戦のシミュレーションだ。これから起こる戦の、な」

 息子は、興味津々で将棋盤を覗き込んだ。

「父上は、いつも戦のことを考えているのですね」

 宗茂は、苦笑いを浮かべた。

「戦国の世は、いつ戦が起こるかわからぬ。常に、備えておかなければならないのだ」

宗茂は、息子に駒の動かし方を教えながら、戦の心得を説いた。

「戦は、力だけではない。知略、そして、何よりも、人を思う心が大切だ。敵を倒すだけでなく、民を守ることも、武将の務めだ」

息子は、真剣な眼差しで、父の言葉に耳を傾けた。

「父上、僕もいつか、父上のような立派な武将になります」

 宗茂は、息子の言葉に、優しく微笑んだ。

「ああ、お前なら、きっとそうなれる。だが、それまで、しっかりと学んでおくのだ」

 宗茂は、息子と共に、将棋盤に向かい、戦のシミュレーションを続けた。盤上には、激しい戦いが繰り広げられ、宗茂は、息子に様々な戦術を教えた。

やがて、夜が更け、息子は眠りについた。宗茂は、一人、将棋盤を見つめながら、迫りくる戦に備えた。

「大坂の陣…この戦は、わしの人生を大きく変えるだろう。だが、わしは、決して諦めない。わしは、わしの信じる道を、最後まで貫き通す」

宗茂は、固い決意を胸に、将棋盤を片付け、静かに目を閉じた。


 夜の帳が下り、静寂に包まれた立花家の居室。宗茂は、疲れ果てた体を横たえ、深い眠りについていた。

 その時、宗茂は奇妙な夢を見た。

 そこは、薄暗く、霧が立ち込める空間。宗茂は、目の前に置かれた将棋盤を見つめていた。盤上には、黒と白の駒が並べられているが、その駒は、まるで生きているかのように、不気味な光を放っていた。

「これは…」

 宗茂が呟いた瞬間、駒が動き出した。黒い駒が、宗茂の白い駒を攻撃してくる。

「何だ…?」

 宗茂は、戸惑いながらも、駒を動かし、応戦した。しかし、黒い駒は、まるで意思を持っているかのように、宗茂の駒を次々と打ち取っていく。

「貴様ら…一体何者だ?」

 宗茂が叫んだ瞬間、黒い駒が、人の形に変わった。それは、かつて宗茂が戦場で討ち取った武者たちの亡霊だった。

「我らは、貴様に討ち取られた者たちの怨念。貴様の命を奪いに来た」

 亡霊たちは、怨念のこもった声で、宗茂に告げた。

「貴様ら…!」

 宗茂は、亡霊たちに斬りかかった。しかし、亡霊たちは、実体を持たないため、宗茂の攻撃は通用しない。

「無駄だ。貴様の命は、我らがいただく」

 亡霊たちは、宗茂を追い詰めていく。宗茂は、絶体絶命のピンチに陥った。

 その時、宗茂の脳裏に、誾千代の姿が浮かんだ。

「宗茂様…諦めてはなりません」

 誾千代の声が、宗茂の耳に響く。

「誾千代…」

 宗茂は、亡き妻の言葉に、再び立ち上がる力を得た。

「わしは、まだ終わらん!貴様らに、わしの命を奪われるわけにはいかん!」

 宗茂は、最後の力を振り絞り、亡霊たちに立ち向かった。

 その時、宗茂の目が覚めた。

 そこは、いつもの居室。宗茂は、夢の中で戦った亡霊たちのことを思い出し、深い疲労感に襲われた。

「あれは…一体何だったのだ…?」

 宗茂は、夢の中で見た将棋盤を思い出し、静かに目を閉じた。

「だが、わしは、決して諦めない。わしは、わしの信じる道を、最後まで貫き通す」

 宗茂は、固い決意を胸に、再び眠りについた。

キャスト案

* 立花宗茂:綾野剛

* 立花誾千代:満島ひかり

* 亡霊たち:阿藤快、石立鉄男、宇津井健

見どころ

* 夢の中の戦い:宗茂と亡霊たちの激しい戦い。

* 誾千代の言葉:宗茂を励ます誾千代の言葉。

* 宗茂の覚悟:亡霊たちに立ち向かう宗茂の覚悟。

* 夢と現実:夢と現実が交錯する幻想的な世界。

* 武将の魂:宗茂の武将としての魂。

追加情報

* この物語は、史実に基づきながらも、フィクションとして描かれています。

* 登場人物の心情や人間関係も丁寧に描かれます。

* 宗茂の武将としての覚悟と、家族への愛が描かれます。

* 夢と現実が交錯する幻想的な世界が描かれます。





 

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