第19話 肥後の火車、そして天下へ

 肥後国、秀吉の茶会。宗茂は、静かに茶を啜りながら、秀吉の様子を観察していた。秀吉は、いつものように豪快に笑い、周りの者たちに酒を勧めていた。

(今しかない…)

 宗茂は、懐に忍ばせた短刀に手をかけた。しかし、その時、秀吉が宗茂に話しかけた。

「宗茂、そなたの武勇にはいつも感心しておる。そなたのような男が、わしの家臣にいてくれて、本当に心強い」

 秀吉の言葉に、宗茂は動きを止めた。秀吉の目は、いつものように笑っていたが、その奥には、鋭い光が宿っていた。

(秀吉様は、わしの企みに気づいているのか…?)

 宗茂は、短刀から手を離し、静かに頭を下げた。

「もったいなきお言葉。この命、秀吉様のために捧げます」

その夜、宗茂は自室で、由布惟信に語りかけた。

「秀吉様は、わしの企みに気づいているのかもしれない」

 由布は、心配そうな表情で宗茂を見つめた。

「宗茂様、もうお止めください。秀吉様は、天下人です。逆らうことは…」

「わかっている。だが、わしは、このままでは終われない。秀吉様が変わってしまった今、わしは、わしの信じる道を貫くしかないのだ」

 宗茂は、固い決意を胸に、再び秀吉の命を狙う機会を窺い始めた。

 数日後、秀吉が夜道を一人で歩いているという情報が入った。宗茂は、この機会を逃すまいと、単身で秀吉を待ち伏せした。

 闇夜の中、秀吉が姿を現した。宗茂は、短刀を手に、秀吉に近づいた。

「秀吉様…」

 宗茂が声をかけた瞬間、秀吉は素早く身を翻し、宗茂に太刀を突きつけた。

「宗茂、やはりそなたか…」

 秀吉の目は、冷たく光っていた。

「秀吉様、もはや昔の秀吉様ではありません。わしは、秀吉様の暴走を止めるために…」

 宗茂は、短刀を構え、秀吉に斬りかかった。

 二人の激しい戦いが始まった。宗茂は、秀吉の太刀をかわし、短刀で秀吉を狙う。秀吉は、宗茂の攻撃をかわしながら、太刀で宗茂を追い詰める。

 戦いの最中、宗茂は、秀吉の目に、かつての輝きを見た。

(秀吉様…)

 宗茂は、一瞬、動きを止めた。その隙をつき、秀吉の太刀が、宗茂の胸を貫いた。

「宗茂…そなたは、わしのことを誤解している…」

 秀吉は、そう言い残し、その場に倒れた。

宗茂は、血を吐きながら、秀吉の亡骸を見つめた。

(秀吉様…)

 宗茂は、秀吉の死を悼みながら、自らの運命を悟った。

キャスト案

* 立花宗茂:綾野剛

* 豊臣秀吉:小日向文世

* 由布惟信:阿部寛

見どころ

* 宗茂の葛藤:秀吉の変貌に苦悩する宗茂。

* 宗茂の決意:秀吉の命を狙う宗茂の覚悟。

* 宗茂と秀吉の戦い:二人の激しい戦い。

* 宗茂の最期:宗茂の悲劇的な結末。

* 戦国時代の戦:緊迫感のある戦闘シーン。

追加情報

* この物語は、史実に基づきながらも、フィクションとして描かれています。

* 登場人物の心情や人間関係も丁寧に描かれます。

* 宗茂の葛藤と、武将としての覚悟が描かれます。

* 戦国時代の戦の様子や、当時の政治状況などが描かれます。

* 宗茂の武勇と、その人間性が描かれます。


 宗茂は、静かに目を閉じ、過去の戦いを回想していた。

(肥後国人一揆…あの戦いは、わしの武将としての名を、天下に轟かせる戦であった)

 天正15年(1587年)9月、佐々成政移封後の肥後国で、大規模な国人一揆が発生した。兵糧不足の佐々軍を救うため、宗茂は弟の高橋統増と共に兵1,200と輜重隊を率いて出陣した。

 宗茂は、一揆方の伏兵の計を逆用し、自らも伏兵を配置。小野鎮幸率いる主力隊が肥後南関を突破し、南関城の将、大津山出羽守を討ち取った。

 佐々軍の平山東・西付城を包囲する有働兼元軍に対し、統増と米多比鎮久率いる騎馬鉄砲隊が敵を引き離し、その隙に輜重隊が城へ兵糧を搬入。そして、長槍隊が有働軍を永野原で撃破し、有働志摩守を討ち取った。

「火車懸けじゃ!敵を蹴散らせ!」

 宗茂の号令一下、立花・高橋軍は火車懸けという戦術を駆使し、敵軍を圧倒した。

 立花・高橋軍は、和仁親実、辺春親行、大津山家稜率いる3,000の兵に包囲されたが、宗茂の智略と武勇により、これを突破。

 宗茂は、戸次家伝来の名刀・笈切り兼光を手に、馬上で敵兵七人を斬り伏せ、有働下総守と一騎打ちの末、これを討ち取った。

 その後、立花・高橋軍は、1日に13度も戦い、7つの城を落とし、650人以上の敵兵を討ち取るという武功を挙げた。

 さらに、和仁三兄弟の田中城を包囲中、宗茂は小早川隆景を義父とし、小早川秀包と義兄弟の契りを結んだ。そして、秀包と共に城内に攻め込み、和仁中務少輔を討ち取った。

(あの戦いで、わしは多くのものを得た。名声、そして、かけがえのない友…)

 宗茂は、小早川秀包との出会いを思い出し、静かに微笑んだ。

(そして、秀吉様…)

 宗茂は、秀吉との出会いを思い出し、複雑な表情を浮かべた。

 天正18年(1590年)、小田原征伐。秀吉は、諸大名の前で宗茂を「東の本多忠勝、西の立花宗茂、東西無双」と評し、その武将としての器量を高く褒め称えた。

(秀吉様は、わしを高く評価してくださった。だが…)

 宗茂は、秀吉の変貌を思い出し、深い悲しみを覚えた。

(秀吉様は、変わってしまった。だが、わしは、わしの信じる道を、最後まで貫き通す)

宗茂は、固い決意を胸に、静かに目を開けた。

キャスト案

* 立花宗茂:綾野剛

* 高橋統増:高橋一生

* 小野鎮幸:佐々木蔵之介

* 由布惟信:阿部寛

* 十時連貞:横浜流星

* 米多比鎮久:渡辺いっけい

* 和仁親実:椎名桔平

* 辺春親行:松重豊

* 大津山家稜:遠藤憲一

* 有働兼元:石橋凌

* 大知越前守:竹中直人

* 小早川隆景:上田晋也

* 小早川秀包:岡田将生

* 豊臣秀吉:小日向文世

* 本多忠勝:山口智充

見どころ

* 肥後国人一揆での活躍:宗茂の智略と武勇。

* 小早川秀包との出会い:宗茂と秀包の友情。

* 秀吉との関係:秀吉に高く評価される宗茂。

* 小田原征伐:秀吉に「東西無双」と称えられる宗茂。

* 宗茂の葛藤:秀吉の変貌に苦悩する宗茂。

追加情報

* この物語は、史実に基づきながらも、フィクションとして描かれています。

* 登場人物の心情や人間関係も丁寧に描かれます。

* 宗茂の武将としての成長と、葛藤が描かれます。

* 戦国時代の戦の様子や、当時の政治状況などが描かれます。

* 宗茂の武勇と、その人間性が描かれます。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る