第16話 宗茂外伝
幼き日の宗茂は、並外れた度胸と冷静さを持っていた。八歳の時、見世物を見に行った際、群衆の中で争いが起こり、人々が逃げ惑う中、宗茂は平然と「今日の見世物はこれで終わりか」と付き添いの者に尋ねたという。
十三歳の時、立花道雪と共に山を散歩していた際、足に棘の付いた栗を踏み抜いてしまう。近習に抜いてくれるよう頼むと、由布惟信は逆に栗を足に押し付けた。道雪が近くの駕籠からその様子を睨みつけていたため、宗茂は痛みに耐えながらも叫ぶことができなかった。この一件以来、宗茂は道雪から厳しく教育を受けることになった。
立花家へ婿養子に行く際、実父の高橋紹運から「高橋と立花が戦になったらどうする」と問われた宗茂は、高橋に味方すると答えた。すると、紹運は「養子に行ったならば、もはや高橋の人間ではない。立花勢の先鋒となってわしを討ち取れ」と諭し、備前長光の剣を渡した。宗茂は、この剣を紹運の形見として、生涯身辺から離さなかった。
宗茂は、肥後一揆の鎮圧で功績を挙げ、豊臣秀吉から加増を打診された。しかし、宗茂は「戦うのに十分な兵力を養える領土は頂いております。それより、戦の際に先鋒をお任せください」と申し出た。そして、朝鮮出兵の碧蹄館の戦いで、宗茂はその武勇を天下に轟かせた。
キャスト案
* 立花宗茂(少年時代):鳥越壮真
* 立花宗茂:綾野剛
* 立花道雪:渡辺謙
* 高橋紹運:役所広司
* 由布惟信:阿部寛
* 豊臣秀吉:小日向文世
見どころ
* 宗茂の少年時代:並外れた度胸と冷静さ。
* 道雪からの教育:厳しくも愛情深い教育。
* 父からの教え:武士としての覚悟と誇り。
* 肥後一揆での活躍:秀吉も認める武勇。
* 碧蹄館の戦い:日ノ本随一と称えられた武勇。
追加情報
* この物語は、史実に基づきながらも、フィクションとして描かれています。
* 登場人物の心情や人間関係も丁寧に描かれます。
* 宗茂の成長と、武将としての覚悟が描かれます。
* 戦国時代の戦の様子や、当時の政治状況などが描かれます。
* 宗茂の武勇と、その人間性が描かれます。
月明かりが差し込む夜。宗茂は、息子を寝床に寝かしつけ、再び昔話を始めた。
「…そして、関ヶ原の戦いの後、わしは一度、領地を失った。だが、決して諦めなかった。誾千代との約束を果たすため、再び立ち上がったのだ」
息子は、目を輝かせ、宗茂の話に聞き入った。
「父上、誾千代様はどんな方だったのですか?」
宗茂は、亡き妻の面影を思い出し、優しく微笑んだ。
「誾千代は、わしの妻であり、戦友であり、そして、何よりも大切な人だった。彼女は、誰よりも強く、そして、誰よりも優しい女性だった」
宗茂は、誾千代との思い出を、息子に語り聞かせた。
「誾千代は、わしが領地を失った時も、ずっとわしを信じ、支えてくれた。彼女は、わしにとって、太陽のような存在だった」
息子は、宗茂の言葉に、静かに耳を傾けた。
「父上、僕も誾千代様のような、強く優しい人になりたい」
宗茂は、息子の言葉に、満足そうに頷いた。
「お前なら、きっとそうなれる。だが、強くあるためには、努力が必要だ。明日も、一緒に稽古をしよう」
翌朝、宗茂は息子と共に、武芸の訓練に励んだ。
「太刀は、ただ振り回すだけでは意味がない。敵の動きをよく見て、隙を突くのだ」
宗茂は、息子に太刀の構え、そして、戦いの心得を教えた。息子は、真剣な眼差しで、父の教えに耳を傾けた。
「父上、僕はいつか、父上や誾千代様のように、立派な武将になります」
息子は、力強く宣言した。
宗茂は、息子の成長を喜び、優しく微笑んだ。
「ああ、お前なら、きっと立派な武将になれる。だが、武勇だけでなく、人を思いやる心も忘れてはならない。それが、立花家の誇りだ」
宗茂は、息子に立花家の誇り、そして、人を愛し、守る心を伝えた。息子は父の教えを胸に、立派な武将へと成長していく。
そして、いつか、息子は父の意志を継ぎ、立花家を背負って立つ。宗茂と誾千代の魂は、息子を通して、未来へと受け継がれていく。
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