第19話
「そっちのお嬢ちゃんもかわいいじゃねぇか。ちょーと俺らによこしなよ」
「お前らはユラで十分だろ?」
「そこの眼鏡も綺麗な顔だな。あんたなら男でも相手してやるぜ?」
男の一人が瑠璃都に目を向けた。
瑠璃都はどちらかと言えば女顔だ。
見た目だけでいけるかいけないかと言えば、大体の男はいけると答えるほどに。
その言葉には思わず瑠璃都は顔を顰めた。
本気で嫌悪感を表すその顔をすぐ横で見ていた由良は、足元にあった廃材の欠片を蹴り飛ばした。
近くにあった積まれたドラム缶に当たり、盛大な音が鳴り響く。
「ねえ、五月蠅いんだけど」
「っんだよ、威勢のいい女だな。でもお前ら、後ろも見て見ろよ?」
一瞬音にびくついた男たちはすぐに立て直した。
言われたとおりに振り向けば、由良たちを挟み込むように新しい男たちが4人いた。
(なんで毎回やることが一緒なんだか)
思わず出そうになったため息を寸でのところで飲み込んだ。
毎回毎回飽きないものだ。
人間の顔ぶれは変わっているのに、やっていることは毎回同じ。
こうもレパートリーがないとなると面白味の欠片もない。
ただでさえ面倒くさいというのに同じことは繰り返さないでほしい。
なんてことを由良が呑気に考えている間にも、男たちはじりじりと距離をつめてきた。
勝てることを疑ってはないらしい。
目に闘志を抱いている大きな犬たちには気づいている様子もない。
「なあ、由良。いいんだろ?」
「やる……っ」
「やりすぎないでね」
(て言っても無理だろうけど)
「こっちの奴らもらいっと」
先行を切ったのは睦月だった。
5人いるほうに嬉々として突っ込んでいった。
「ずる…っ」
諌那は必然的に残った4人のほうへ。
睦月は喧嘩を楽しむタイプだし、諌那は容赦というものができない。加減がきかないらしい。
この二人が暴れたら大惨事になりそうだ。
霞自体は実態が不明と言われている。
集団で行動することがあまりなく、お互いで情報伝達をするわけでもないから掴めないのは当然だった。
それでも個々としては目立つ。とにかく目立つ。
ユラと番犬と言えば毎回共に行動していたわけではないのに夜の世界では有名になっていた。
こうして難癖をつけてくる人間も多い。
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