第20話
「由良」
「何?」
睦月と諌那はそれぞれ相手をしている、というか蹴散らしている。
そんな中で瑠璃都が由良を見た。
「ありがとうございます」
「何が?」
「あの男が俺のこと綺麗な顔って言ったから怒ってくれたんでしょう?」
「私も瑠璃のこと綺麗な顔だって思ってるよ」
「由良はいいんです」
見惚れるような笑みで、瑠璃都が笑った。
眼鏡に触りながら言う瑠璃都に、由良は手を伸ばしかけた。
(っ……)
目の前を通り過ぎた何かに遮られなければその頭を撫でていたのに。
由良の手の先をかすめた何かは瑠璃都のこめかみのすぐ横を通っていった。
何故かそのまま諌那の頭に。
「っ……!?」
振り返った諌那の顔は涙目で、まっすぐに睦月を睨んでいる。
「Sorry!手がつるった!」
「し……ね……っ」
(あー……)
向かってきた男たちよりもあの二人のほうが大変そうだが、由良が見ているのはそこではなかった。
瑠璃都は下を向いている。
怪我はしていないはずだが、上げた顔には常に身に着けている眼鏡がない。
「瑠璃都」
「………」
由良の問いかけにも答えずに無言で眼鏡を拾った。
眼鏡のフレームのあたりに当たったのか、レンズ部分にひびが入ってしまっている。
フレームもわずかに曲がっているし、これは買い替えだろう。
つかつかと、まだ諌那とにらみ合っている睦月の背後に回って、瑠璃都はその背中を思い切り蹴り飛ばした。
ついでとばかりにすでに地面に蹲っていた男たちの背中も何人か踏みつけてやる。
「て……っ!?なにすんだよ、るり」
「はあ!?ふざけてんの、お前。なんなんだよほんとに。何飛ばしてんだよ。本気で一回死んで来いよ。まじ俺と由良の視界に入らないとこに消えてきてこい。死ね。本気で死ね」
「いきなり、なんだっつーんだよ」
諌那のほうも終わったのか不思議そうに戻ってくる。
いまだに瑠璃都は興奮が収まらないようで下にいる男たちの脇腹を蹴ったり背中を踏んだり。
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