第18話

うっとりと手に持ったフォークを眺め始めた瑠璃都の横で、諌那が焦りだした。


「お、おれ…も……っ!」



と、自分の皿を見て唖然と固まった。


諌那が頼んだものは由良と同じものだ。


おすそわけできない、とでも思ったのだろう。


しゅん、と項垂れてしまった。



(そんな顔しなくてもいいのに)


仕方ないとばかりに、由良は自分のスプーンを動かした。



「ゆき」



「っ……!」


由良が諌那の口に自分の分のオムライスを一口突っ込んだ。


目を見開いた諌那はもぐもぐと、入れられたまま咀嚼して飲み込んだ。


「量多いから」


少し食べて、と言えば諌那はきらきらとした目で頷いた。


本当に大きな子供だ。



「由良―、俺にも」


「あっ、俺にもください」


「ん」


瑠璃都と睦月にも一口ずつオムライスを突っ込んでやる。


嬉しそうに食べる三人に由良も頬を緩めた。



そんな4人を店員たちがこっそり目の保養に見ていたことは気づかなかったらしい。




店を出たのはゆっくり、2時間ほど経った後だった。


街を目的もなく歩く4人は妙に目立っていた。


良い意味でも悪い意味でも。



一般人には目の保養として映っているだけ。


けれど、ユラの番犬としても知っている人間は知っている。


偶然、直射日光を避けるように入った路地裏で、5人ほどの男が待ち構えていた。


全員体格が良い、目つきがぎらぎらとしている男たちだった。


ちらりと一瞥しただけで通り過ぎようとしたのに、通路を塞ぐように5人は広がった。



「よーよー、お兄さんたち」


「どっかで見たことあんだよなぁ。俺らの気のせいじゃねぇだろ?」


「番犬さんがこんな真昼間からなーにしてんだぁ」


「女一人に飼われやがって。良いご身分だよな~」


「俺ら暇してんのよ」


にたり、と男たちが笑った。

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