第17話
しばらくして、運ばれてきた料理を見ながら、睦月が呟いた。
「由良は、まだ諌那ンとこにいるのか?」
「……いるよ。もう少し」
(今は、危ないから)
壊れそうだから、という由良の瞳はどこか遠くを見つめている。
どこか力ない言葉だが、由良は譲る気はない。
普段動くことが少ない分、由良が決めたら譲らないのは三人もわかっている。
「諌那。守れよ、自分の居場所は自分で。由良のことも」
「Mistress(主人)が傷つくなら、ヨーシなく潰す」
「バカ。ヨーシじゃなくて容赦だろ、アホ」
(心配しすぎ)
「おれ……まも、る」
「ありがと。でも三人のこと私も守るから」
(居場所がない間は居場所になるから)
「あの……」
遠慮がちに声をかけてきたのは店員の女性だった。
女性の手にはプレートが乗ってるが、机の上の料理は揃ってる。
由良は首をかしげた。
「あの、これ、よかったら……。サービスです」
照れながら机に乗せるそれはデザートの盛り合わせだった。
「ありがとう」
「いっ、いえっ!ごゆっくり!」
(忙しい人)
去っていく背中を見ながら由良は内心で呟いた。
「食べようか」
由良がそう言えば揃っていただきます、という呟きが聞えた。
霞のメンバーだけでなく番犬の三人までしっかりと言っているのはもちろん由良の影響だ。
「……ごしゅじ、の、たべたい……」
「あー……由良、今度Hamburger作ってくれよ」
「由良の作るものより美味しものがあるわけないですからね」
何故か食べながら由良の作るものを食べたがる三人に由良が苦笑した。
「褒めすぎ」
(これも美味しいのに)
大げさな、と呟いた由良の目の前にフォークが差し出された。
「俺の、おすそわけです」
にこりと笑う瑠璃都は自分のサラダを由良の目の前に差し出していた。
口元に運ばれてきたそれを躊躇うことなく口に入れる。
ぱくり、と食いついた由良に瑠璃都はまた破顔した。
「美味しいですか?由良」
「ん。美味しい」
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