第14話

「どこ行く?」


この散歩には行先などない。


番犬である三人にしてみればこれは本当にただの散歩で、ただ歩くだけでもいいものだった。


もちろん、由良との時間が増えるならそのほうがいいが。



由良を囲むように歩く彼らを見上げるように問いかけてみれば瑠璃都がにこりと笑った。


「由良と一緒ならどこへでも。ああ、でも由良が暑さでやられてしまいますよね。涼しいところがいいですね」


「なら店でも入ろうぜー」


「ん……」


番犬三人の意見は一致らしい。


由良のマンションは繁華街からすぐそば。


少し歩いただけで店は揃っている。



普段行く店と言えばBrumeばかりだ。


番犬と呼ばれる三人はそんなに顔を出すことはないが、それでも食べるなら由良の作った物が良いと、あまり他のものは食べない。


剣と言い、尊たちといい、そればかりだ、と由良は呆れながらも嬉しさは隠せない。



「あれ…、あきはるが、おいし……いてた」


ふと、諌那が指さしたのはまだ新しそうなカフェだった。


店はガラス張りで、シンプルで綺麗な内装が見える。


ケーキやクッキーが並んだ棚が目につくが、入口の看板を見るに食事のメニューもなかなか揃っていそうだ。


秋陽は新しい店を見つけるのが趣味のようだし、といっても甘い物にばかり目を向けているようだが、間違いはないだろう。



「じゃあ、そこにする?」


由良が問いかけるが、由良がそう尋ねた時点で決定しているようなものだ。


基本的に逆らう人間はいない。


「由良がいいのなら」


「腹へったなー」


「はい、る……」



店に入ればすぐに若い女性の店員が声をかけてきた。


「いらっしゃいませー!何名様で……」


笑顔で声をかけてきた店員は、由良たちを見て動きを止めた。


由良は首を傾げると、女性ははっと動きを再開した。


「あっ、失礼しましたっ!4名様ですか?ご案内しますね!っ」


由良たちを案内しながらもちらちらとこちらを見る店員の頬は赤く染まっていた。



(ああ……。瑠璃たちを見たから……)



無駄に整った顔の男たちが揃っていたからか、と由良は内心で納得した。


その視線の先に由良も含まれているとは考えもしないらしい。


今日は男装こそしていないものの、中性的で綺麗な見た目をしている由良は男女問わず目を惹かれる存在だ。


本人は全くわかっていないが。

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