第15話

案内された席は四人席だが、なかなか広い作りになっていた。


店の奥のほうに用意された席は落ち着いていて、人の注目も集めずらいだろう。


席の作りが丸いテーブルを囲むように丸いソファになっているのも周りから独立していていい感じだった。


「こちらでいいですか?ご注文がお決まりになりましたらお呼びくださいね」


店員の気づかいに由良は少しではあるが表情を崩した。


「ありがとう」


今まで作り物のように無表情だった綺麗な顔に浮かんだ笑みに、女性は顔を赤くして、ぺこりと逃げるように去っていった。



(……?)


ん?と首を傾げた由良にため息をついたのは瑠璃都だった。


「由良。あまり無差別に魅了しないでください……」


「魅了って何が」


睦月と諌那もこくこくと頷いているが、由良はそんなことをした覚えはない。


由良は不思議そうにしながらも席に座った。



半円状になっているソファの端。


それを見た諌那はてこてこと席に近づいて。



「諌那、何してんの」



ぐいっと二つの腕に引かれた。


首元を掴まれて後ろに引かれた諌那は必然的に首をしめられるような形になり、後ろを恨めしそうに見た。


「なに……する……」


「抜けがけはダメだって言ったろー」


「由良の隣は渡さないから」



(また始まった)



めんどくさいが、これはいつものことだ。


周りには人がいないから放っておいても害はないだろう。


由良は机に肘をついて傍観することを決めた。




「決まった?」


何分たっただろうか。


言いあいは終わる気配はありそうにない。


先ほど席に案内してくれた女性が水を4つ持ったままおろおろとしてしまっている。


通路を塞いでいるというわけではないのだが、何事かと由良と三人を交互に見つめていた。


「気にしなくて大丈夫」


由良が手招きしてやれば、女性はゆっくりと由良に近づいてきた。


「あの、お水……失礼しますね」


「うん。ありがとう」


水を置いた女性はいまだに三人を気にしながらも去っていった。



「ご飯食べない?」


ぴたり、と。


由良の一言で三人が動きをとめた。

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